札幌から行く 『温泉宿』

    温泉宿 「宿泊」 好きな札幌人。風呂、食事、部屋、もてなし・・・ 「湯宿をめぐる冒険記」 & 「雑多な温泉話」

     島根県大田(おおだ)市の温泉津(ゆのつ)温泉は、1300年前からこんこんと湧き出る含土類食塩泉の「温泉」と、船着き場を意味する「津」を組み合わせた地名。そう、温泉街は温泉津湾の目と鼻の先であり、石見銀山で採掘された銀を国内外へ運び出す積出港として栄えた歴史がある。温泉街を含めて2007年にユネスコ世界遺産「石見銀山遺跡とその文化的景観」の登録を受けている。

    温泉津湾
     それより前の2004年、温泉街は国の重要伝統的建造物群保存地区に選ばれた。木造建築の修理にかかる補助金に加え、相続税と固定資産税に優遇策が講じられるだけに、歴史が醸し出す温泉街の空気感が維持されるよう期待したい。

    渋い
    薬師湯
     現地でゲットした温泉津温泉旅館組合リーフレットによると、加盟宿は「ますや」「のがわや」「輝雲荘」「後楽」「なかのや」「廣島屋」「山県屋」「もりもと旅館」「高見屋」「清水大師」の10軒。「さわのや旅館」と「あさぎ屋」はボールペンでバツ印がついているから、廃業したのだろう。客室数が一番多くても14室(輝雲荘)だから、いずれもこじんまり宿だ。細い路地に温泉宿、商店、住居が密集する温泉津温泉の特色が見て取れよう。
     これ以外にも宿坊という名の宿泊施設(温泉浴室はないらしい)が散見されるようだ。宿で温泉に入れなくても、温泉街に公衆浴場が2軒(元湯、薬師湯)がある。

    龍御前神社
     温泉街にある「龍御前(たつのごぜん)神社」では、伝統芸能「石見神楽」を定期的に開催している。渋い街並みと濃厚な湯にあふれる文化的な温泉街に期待が高まってきた。

     島根県雲南市の「湯乃上館」でチェックアウト時、ご主人に質問された。「今日はどちらへ?」と。ワタシは答える。「(同じ県内の)温泉津温泉で1泊します。レンタカーで温泉津温泉へ行くには、(地図上で見れば)、近道の山道をくねくね運転するor遠回りの高速道路の、どちらがイイ感じですか」。
     ご主人曰く、「高速道路の方が快適」であると。さらに、温泉津温泉に近い石見銀山は、やっぱり見ておいた方がイイと。

     素直に従う。10時00分に出発し、松江自動車道と山陰自動車道を走り、国道9号へ。11時10分から道の駅「キララ多伎(たき)」で30~40分休憩の上、大田市の石見銀山世界遺産センター駐車場に着いたのは12時10分。走行距離83キロ、走行時間1時間30分のドライブだった。


    駐車場→バス乗車→現地へ

     ところで、石見銀山って何? 西暦1500年代の戦国時代から1600年代の江戸時代まで、世界有数の銀産出地としてその名を轟かせた。当時は世界で採れる銀の3分の1が石見銀山と言われたほど。その遺跡と周辺の景観が、2007年に世界遺産に登録されている。

     車で現地を訪れたいが、駐車場が手狭という。そのため、現地からそこそこ離れた世界遺産センター付近に駐車場400台を整備。そこからバスに5分間乗り、現地入りするのが一般的だ。満員のバスに揺られ、バス停「大森」下車200円。平日は30分、土日祝日は15分に1本ペースでピストン輸送している。

    バス
     

     出雲空港から出雲大社までの直通バスは、一の鳥居「宇迦橋(うがばし)の大鳥居」をくぐり、出雲大社駅前へ12時30分に着く。乗車時間は40分だった。駅の中のコインロッカーに重たい荷物を預け、いざ出雲大社(読み方は「たいしゃ」or「おおやしろ」)に参拝へ。

    出雲大社駅前


    神門通り
    門前町
     出雲大社に向かって伸びる神門通りは、飲食店や土産屋が連なる商店街で、観光地の匂いがする。350メートル歩くと、鳥居が見えてきた。

    鳥居が見えた


    二の鳥居 「勢溜の大鳥居」
    鳥居
     勢溜は「せいだまり」と読む。ここから先が境内だ。

    【12:15】 国内生産量 第2位
    お茶畑
     鹿児島県の薩摩地方をレンタカーで走っていると、茶畑の多さに気付く。日本茶と言えば、静岡県のイメージしか抱いていなかったが、後で調べてみれば、生産量は静岡県に次いで第2位。2県で国内生産量の7割を占めている。
     ゴールデンウィークは、ちょうど新茶の季節だった。



    【12:45】 特攻隊員1,036人の遺影
    ゼロ戦
     知覧特攻平和会館(南九州市)を見学する。
     第2次世界大戦の終末期に当たる沖縄戦において、日本軍は爆弾を積んだ戦闘機をアメリカの艦船に突っ込ませる航空特攻作戦を展開した。今の世で言う「自爆テロ」と姿が重なる。
     特攻隊員1,036人が出撃した飛行場は、鹿児島、宮崎、熊本、福岡、山口、台湾に点在していたが、会館のある知覧飛行場から最も多い439人が飛び立っている。特攻隊員は10代後半の若者が多く、北海道出身者は35人だ。展示している遺書に氏名とともに「札幌市」「音更町」などと住所を記していて、これはリアルを感じる。
     2015年は戦後70年の節目だけに、マスコミ各社があの頃の戦争についてキャンペーンした。戦争を体験した当事者の肉声がココロに響く。一方で当事者の高齢化が進む中、これから先、肉声が聞けなくなってくる。今しかない。



    【16:36】 九州新幹線で移動
    新幹線
     鹿児島中央駅のすぐ近くでレンタカーを返却した。14時55分。この後、博多まで新幹線で移動する。早得で7,710円×2人。駅内で土産物色&喫茶店でノンビリしつつ、つれの「小銭入れをなくした」という騒動で、レンタカー屋に引き返し、車内をチェックしたら、小銭入れを発見した。良かった。

    西大山駅
    最南端
     日本最南端のJR駅にやってきた。列車に乗って訪れれば達成感があるだろう。
     最東端の東根室駅と、最西端の佐世保駅は、どちらも未訪。
     消滅する危険性があろう東根室駅への訪問は喫緊の課題だ。

    看板
    駅前
     駅前の駐車場は、ワタシを含めた観光客の車でいっぱい。周辺には土産屋っぽい店もあった。

    黄色いポスト
    記念切手
     幸せの黄色いポストが鎮座。その横で地元郵便局の職員が記念切手を売っていた。「お話だけでも聞いてください」と声をかけられ、聞いてしまったら最後、「買わなきゃ申し訳ない」と思うワタシ。つれが「おまけでつく黄色いポストの貯金箱が欲しい」と後押ししてくれ、ついつい財布の紐を緩めてしまうのだった。THE 観光客。1,200円なり。