札幌から行く 『温泉宿』

    温泉宿 「宿泊」 好きな札幌人。風呂、食事、部屋、もてなし・・・ 「湯宿をめぐる冒険記」 & 「雑多な温泉話」

    飾らぬ風情

     玄関ロビーを、かわいらしい赤ん坊が「ハイハイ」している。聞けば、宿を継いだ3代目夫婦が授かったばかり。ひ孫の誕生に、隠居した先代の名物女将は目を細める。

     1927年(昭和2年)開業。家族経営の飾らない雰囲気に、思わず「ただいま」とあいさつしてしまいそう。

    看板
    鄙びた廊下
     木造2階建てで、年季が入りまくっているものの、シンプルな和室は掃除が行き届いている。出入り口脇に置いてあるストーブの形から、おそらく燃料は豊富温泉で採れる天然ガスを使用すると感じ、おおっ、と歓心した。



    鄙びた浴室

    風呂
     湯船のふち、タイル床が茶色く染まっている。まぎれもない、温泉成分によるものだ。ナトリウム-塩化物泉の湯は、近くに佇むふれあいセンターの一般浴室と比べ、油分&灯油臭がちょっぴり控えめなものの、しょっぱさは変わらない。

     緑っぽい色合いの湯に身を沈め、年月を重ねた浴室を眺めていると、いい感じに鄙びているなあ、と嬉しくなってくる。



    洗練された料理

    山ウドとエゾカンゾウの酢味噌和え
    たけのこ
    刺身
    伝統の寄せ鍋
    天ぷら(後出し)
    自分で盛り付ける白米&味噌汁
    名物「温泉プリン」
     2食7,500円だから、本来ならば食事に期待しちゃいけない。しかし、食事処のテーブルに並べられた夕食をみて「これは当たりだな」とニンマリする。

     ぱっと見は特別変わった食事内容ではないのだが、1品1品ていねいな造りのメニューが、統一感のある器に盛られており、そこはかとない上品さが漂ってくる。包丁を握る3代目の若旦那は、洗練された腕前だ。

     ただし、観光気分で泊まれば7,500円の夕食は、品数がちょっぴり物足りない。そういう方々のために、1,000円刻みで宿泊料アップ=夕食グレードアップのプランがある。予約時に宿へ相談してみよう。ちなみに6,000円台で湯治プランも。「夕食内容は日々変わります。カレーとか」だそう。

     朝食を含め、ごはんとみそ汁は、食事処の隅っこに置いてある電子ジャー&鍋から自分でよそって食べるから、民宿や商人宿のようなシステム。それなのに食事に品があるというギャップが面白い。



    変わらぬ良さ

    宿名入りティッシュ
     80年以上の歴史を重ねた湯宿は、昔ながらの素朴さの一方、地元牛乳を活用した「温泉プリン」を商品化し、ネット販売を通じて全国から注目を集めるなど、3代目の新しいカラーも少しずつ打ち出している。

     平成の世にあって、昭和の風情漂う建物や浴室は、新鮮に映る。言い方を変えれば少々古臭く、トイレも男女共同だから、「トイレ行きたい」と足を運んだタイミングで女性客が入る姿を見かけたときは、踵を返して客室へ戻った。しかしながら、誉れ高き豊富温泉の湯を味わえ、食事も美味しいから、思いかけず満足度が高い。

     ハイハイしていた跡取り候補と言える赤ん坊の成長ぶりも含め、どんなふうに発展していくか、再訪が楽しみだ。釈迦に説法ながら、鄙びた風情はそのままだったら嬉しい。「変わらぬ良さ」というものも、今や川島旅館の大きな魅力なのだから。

    朝食
    ・白米
    ・味噌汁(ニラと揚げ)
    ・焼きシャケ
    ・ちくわきゅうり
    ・生卵
    ・納豆
    ・味付のり
    ・梅干
    ・漬物

    セルフサービス
     白米、味噌汁、牛乳、冷水、落としたコーヒー(ポットに入っている)はセルフサービスで。

    朝食会場
     夕食も朝食も1階食堂で。指定された8時00分から。

    夕食全景
     宿指定の18時30分から、1階食堂で。後出しメニューあり。

    ・中瓶ビール 630円
    ・日本酒200ml(燗・冷) 525円
    ・冷酒300ml 840円
    ・焼酎(ミニゴードー)200ml 375円
    ・ソフトドリンク各種210円

    男性風呂
    温泉分析書 平成21年3月15日
    ・豊富温泉(R4号井、R1A号井混合)
    ・31.5度
    ・微黄色白濁、カン味、石油臭
    ・Ph7.9
    ・蒸発残留物10.98g/kg
    ・成分総計12.07g/kg
    ・ナトリウム-塩化物泉

     湯使いについて、脱衣所内に下記の掲示あり(抜粋要約)。
     加温(泉温が低いため)、循環装置使用(湯船が深く浴槽内の湯温を一定に保つため)。
     湯は湯船から溢れさせている。

     宿泊客は夜通し入浴OK。

     日帰り入浴8~22時、400円。

    外観
     和室11室。

    玄関
     玄関の横に帳場があり、大旦那さんの誘導で2階客室へ。

    2階客室前の廊下
    客室出入り口