札幌から行く 『温泉宿』

    温泉宿 「宿泊」 好きな札幌人。風呂、食事、部屋、もてなし・・・ 「湯宿をめぐる冒険記」 & 「雑多な温泉話」

    1,260円
     醤油ごはんの上に、毛がにの身がびっしり。

    3日前まで要予約
     稚内駅立売商会に電話予約(購入日の3日前まで受付)しなければ購入できない。稚内駅キオスクで当方の名前を告げ購入した。1,260円。

     最北端界隈の温泉宿を、2泊3日でめぐる旅はこれにて終了。急行サロベツに揺られ、5時間かけて札幌へ帰ったが、いささか座り疲れてしまった。

     次は近場宿にしよう・・・そう思いつつも、道南に足を運んだ。

    1,100円
     うにを混ぜたごはんの上に、蒸うにと錦糸玉子が敷き詰められている。漬物3種、きざみのり付。

    壷は捨てずに持ち帰った
     購入に当たっては3日前までに電話予約が不可欠。稚内駅立売商会、1,100円。

    稚内北星学園大
     1987年(昭和62年)に短大として開学。稚内市がハードを整備し、学校法人稚内北星学園が運営するという公設民営方式でスタートした。
     2000年(平成12年)4年制大学化を果たし、情報メディア学部(1学年定員70人)を有する。

     4学年足しても定員280人という、こじんまりした最北端の大学は、リゾートホテルを思わせる風情で、レンガ色した外観=ホテル豊富を連想した。市民開放している図書館や食堂をのぞこうと足を運んだが、連休中とあってか玄関は閉じられていた。残念。

     市民講座、聴講生制度に加え、仕事を持つ市民が通学しやすいよう昼夜開講制を導入しており、その気になれば生涯教育を受けられる。日刊宗谷など地元メディアが複数ある稚内という地域に「文化的な風土」を感じたが、この大学を目の前にして、その思いは強まった。

    日本最北端の地の碑は、昭和43年(1968年)建立
     せっかく稚内まで来たのだから、と足を運んだ。

    土産屋
     土産屋、食堂が立ち並ぶ。

    賑わっている
     旧海軍望楼から望む。

    宗谷牛
     宗谷丘稜では、宗谷黒牛が草を食んでいた。

     4ページ建ての地元紙「日刊宗谷」が、稚内珈琲店に置いてあった。発刊している宗谷新聞社は、昭和23年(1948年)創業。豊富町、浜頓別町、枝幸町、利尻町に支局を有し、稚内市に自社ビルを構えている。地元の有力企業なのかな。記念に購入しようと思ったが、稚内駅キオスクには置いてなかった。

    月1,200円(1部50円)
     それにしても、稚内市には「稚内プレス」(稚内プレス社)という、A4版2ページの日刊紙(月500円は国内最安)があるほか、雑誌の「月刊道北」(北方現代社)も発刊されている。

     稚内市は人口39,000人、宗谷管内(1市8町1村)を合わせても71,000人のエリアに、地元メディアが3つ(規模の大小はさておき)もあるって、なんだか文化的な風土を感じるのは当方だけだろうか。
     よくよく調べてみれば、朝日、毎日、読売、道新、建新、道通、NHK、STV、HBCが、支局なり通信部を置いている。

     宗谷支庁の中心である稚内市は、国や道の出先機関が複数あって、しかもサハリンとの航路もある、わが国最北の街。「地方行政の拠点」であるとともに、いわゆる「ロシアとの国境の街」を意識したメディアの報道体制が見て取れる。
     こんな風土がベースにあり、政治・経済・国際に関する市民の意識が高いのかも知れない。だからこそ、地元メディアが3つもあると。そう夢想した。

     と、素人の視点で記してみた。

    稚内珈琲店
     営業時間8~19時。

    コーヒー コーヒーの種類は複数あって、味にうるさいつれも満足げ。値段は失念したが、500円くらいか。
     なにより、きれいな店内だったとの印象が残る。


    最北の温泉民宿

    玄関戸。左手の建物が宗谷パレス 稚内市富士見地区の住宅街に、1軒の温泉民宿がある。周辺の建物に埋没してしまいそうな、控えめな佇まいだ。
     どうやら、同地区に日帰り1施設、湯宿2施設があり「日本でいちばん北の温泉地」らしい。地図を広げれば「稚内市街地」「利尻島」「礼文島」の温泉地よりも、確かに北限に位置している。

     それでは、北限の温泉地の中で、最も北に位置する温泉施設はどこか。1位は湯元の「童夢」という稚内市の日帰り施設、2位は稚内船員保険保養所「宗谷パレス」という結果だった。
     ただ、温泉民宿という形態では『わが国最北』と謳って良いだろう。




    ツルツル湯、海鮮メシ

    小ぶりな男子浴槽
     宿泊者のみの小さな浴室は、家族風呂のような大きさ
     加水、加温、循環、塩素殺菌のいずれも行っているとの脱衣所掲示を見て、期待せず入浴したが、含ほう酸・重曹-強食塩泉という湯は、意外にツルツルする浴感で驚く。塩素臭は感じず、思い切って湯を口に含むとほんのり塩気とちょっとエグ味を感じた。成分総計25.27g/kgという源泉そのものは、どんな湯か、気になる。

    おいしい夕食
     鮮度の良い海の幸を生かした、家庭料理プラスアルファな美味い料理に舌鼓。食堂での夕食時、白米は炊飯ジャーからセルフで盛るのだが、その姿をチェックしたご主人がタイミング良く味噌汁を運んでくる。ナイスな仕事振りだなあ。



    清潔 こざっぱり

    清潔って、宿の基本
     糊の効いたシーツの上に寝転び、洗いたての布団カバーに包まれて、旅の疲れを癒す瞬間がたまらない。館内は掃除が行き届き、ノースリッパでも良いのでは、と思ってしまう。「宿の基本は清潔」という当たり前ながら実は難しいことを、きっちり実行している、実直な湯宿と感じた。

     一方、築年数を重ねた民宿ゆえにハードは簡素だし、客室の壁の薄さはご愛嬌。それでも、連休中とあって当方のような観光客で賑わい、夕食時は「美味いねえ」との声があちこちから聞こえてくる。

     ちょっとベタ褒めな理由は、これで2食付6,800円だから。こざっぱりした清潔な宿で、海鮮メシが美味い。感受性が豊かであれば「最北の温泉民宿に泊まった」という、稚内観光特有の達成感も味わえよう。
     「源泉かけ流し原理主義」から解き放たれれば、宿選びの幅がぐんと広がり、良宿に出会える可能性が広がる。「湯使いが良い」イコール「良い宿」とは言い切れない事実に、改めて気付かされた。もちろん、鮮度の良い湯に越したことはないのだが。

    朝食
    ・ホッケ焼、明太子
    ・切干大根
    ・たまご焼き
    ・漬物
    ・いか塩辛
    ・ほうれん草おひたし
    ・味付のり
    ・白米←炊飯ジャーから自分でよそう
    ・熱々みそ汁←席に着いてから持ってきてくれる

     飲物はあたたかいお茶。

    1階食堂 (写真は夕食時)
     7~8時半の間、自由に訪れて空いた席に座って食す。

    夕食
     宿指定の18時から、1階食堂で。

    1階男女浴室前
     風呂は男女別に内風呂のみ。

    →温泉分析書 (昭和52年7月)

    ・源泉名 「稚内ノシャップ温泉1号」
    ・含ほう酸・重曹-強食塩泉
    ・泉温38度、毎分150リットル
    ・pH7.7
    ・成分総計25.27g/kg
    ・蒸発残留物21.00g/kg

     【湯使い】 脱衣所掲示によると、加水、加温、循環、塩素殺菌を、いずれも実施している。

     宿泊客は夜通し入浴OK。日帰り受付はやっていないっぽい。

    外観
     稚内船員保険保養所「宗谷パレス」の斜め向かいに佇む温泉民宿。16室。

    右手にフロント(写っていない)、左手に食堂、階段奥に風呂
     玄関横のフロントで、所定用紙に個人情報を記入の上、鍵を渡され自力で2階客室へ。

    客室のドアを開けると、こんな光景
     客室のドアを開ける。

    利尻富士を望む
     観光施設、土産屋、飲食店が並び、連休とあってとっても賑わっていた。

     音威子府村で蕎麦を堪能した後、今宵の湯宿がある稚内へ。道道119号で遠別入りし、国道232号、道道106号稚内天塩線のいわゆる「日本海オロロンライン」を、ひたすら北上。

    牧草ロールと利尻富士
     日本海の沖に利尻島が浮かび、利尻富士を望めた。眺めの良いドライブコースだなあ。

    大もり700円
     大もりそば700円。

    道の駅おといねっぷ
     営業時間11時00分~17時30分、木曜定休。

    だから、挨拶もないのだな
     調理人1人と、お運び&会計1人=計2人で、連休中の昼間に対応ゆえに、注文から提供まで40分待ちは仕方ないな。

     冷たいそば6種、あたたかいそば10種。
     ラーメンは「しょうゆ」「みそ」「しお」「辛いみそ」「とんこつ」で計17種。正油の「黒らーめん」650円~。
     
    ステッカー
     「味噌パン」として有名らしいが、商品名をみると「天塩川温泉みやげ 鮭の照やき」だそう。

    大500円、小200円
     原材料は、小麦粉、砂糖、油脂、玉子、ふくらし粉、みそ。
     大500円、小200円で、「パン」というよりは「菓子」だなあ。

    原菓子舗
     国道40号沿い、音威子府駅至近。

    笑
     いろんなマスコミに紹介されました、と、アピールしている。

    店構え
     音威子府駅に入居している、駅そば屋「常盤軒」。立ち食いスタイルながら、長テーブル&パイプイスも用意してある。

    かけそば350円
     かけそば350円。とにかく麺が黒い。

     営業時間9時30分~16時00分、水曜定休。

    福ノ家旅館2階客室から望む外観
     オープン時間が迫ると、あれよあれよと10人くらい集まってきて、わいわい賑やか。
     営業時間8時30分~21時00分。券売機で1人500円。

    案内
     「湯治用」と「一般用」の浴室が、男女別にある。内風呂のみで露天はない。
     どちらも源泉は同じ。加温の程度が異なるだけだ。湯治用はぬるめ、一般用は熱め。

    →温泉分析書 (平成21年3月)
    ・源泉名 「R10号井」
    ・ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉
    ・毎分51リットル 動力揚湯
    ・泉温41.6度
    ・pH7.6
    ・成分総計15.43g/kg
    ・蒸発残留物13.65g/kg

    とんと評判聞かぬ宿

     ずっと気になっていた湯宿だ。

     初めての出会いは「パラダイス北海道」というネット予約サイト。そこに記されている紹介文を見て、惹かれる何かがあった。箇条書きすれば、こんな感じ。

    玄関前
    ・豊富温泉の湯が「源泉100%」
    ・湯治客にも人気
    ・新鮮な海の幸が自慢の漁師宿
    ・そして人情宿


     これで2食付5,700円という。湯と食が良く、宿主のあったかいもてなしを受けることが出来そう、と感じるセールスポイントを聞けば、とっても激安だなと、心を揺さぶられる。

     しかし、この湯宿に関する評判は、とんと聞かない。知る人ぞ知る、「誰にも教えたくない穴場宿」なのかしら。それとも、セールスポイントは「いささか、オーバーな表現」だったりするのか。

     真相究明へ、遠路はるばるやって来た。よーし、なんでも見てやろう。

    アルミ製トレーが学校給食を思い出させる
    ・サケ焼
    ・生タマゴ
    ・カップ納豆
    ・梅干
    ・とろろ昆布
    ・白米
    ・みそ汁
    ・ホット牛乳

     温かいお茶あり。

     宿指定の7時10分過ぎ、1階・茶の間のようなところで。

    夕食
     宿指定は18時30分前後。18時20分過ぎにお膳が運ばれ、客室で食す。一気出し。

    白米&デザート&お茶
     白米とスイカと温かいお茶も供された。

    右側ドアは共同トイレ
     左側のドアが温泉浴室。浴室が1つしかないため、貸切で利用する。

    脱衣所
     脱衣所のドアを開けると、石油臭がむわんと鼻につくが、すぐに慣れた。

    →温泉分析書 (平成9年1月)

    ・源泉名 「R1A号井、R4号井」混合
    ・ナトリウム-塩化物泉
    ・泉温31.5度←記憶があやふや
    ・pH7.7
    ・成分総計12.07g/kg
    ・蒸発残留物10.91g/kg

     朝食会場に平成21年3月の温泉分析書が掲示してあったが、うろ覚え。

    外観
     ふれあいセンター向かいの湯宿。木造2階建て、7室。

    カレンダーは19日だが、泊まったのは20日
     玄関で靴を脱ぎ、女将の誘導で2階客室へ。

    客室前廊下
    客室前
     引き戸を開けると、すぐ客室だったりする。

     今宵泊まる豊富温泉は、稚内市の南に隣接する豊富町(人口4,500人)にあり、稚内から車に乗れば、国道40号経由で40~50分。当方はほんのり遠回りかも知れないが、稚内空港の横を通っている道道121号(稚内幌延線)をひた走る。ほとんど対向車がない中、路肩にレンタカーを停め、牧歌的な風景を撮った。



    豊富温泉看板
     豊富温泉は、84年の歴史を有する。1925年(大正14年)、道内各地で石油開発に取り組んでいた村井吉兵衛氏がこの地で掘削したところ、ガスと油の混じった湯を掘り当てたのが起源らしい。(北海道温泉地案内 昭和12年・北海道景勝地協会刊行)

    源泉
     複数の源泉は町が管理し、各宿へ配られている。合同資源産業株式会社(本社・東京)により天然ガスも採取されているそうだ。

    説明
     ナトリウム-塩化物泉で黄土色のような黒色っぽい感じもする湯は、しょっぱい&石油成分ぬるぬる&石油臭。個性的な湯質とあって、地元客や温泉好きの注目を集める一方、アトピーや疥癬の症状を和らげるケースもあり、これら皮膚疾患の方々の湯治場としても有名である。

     ひと昔前のガイドブックを拝見すると、豊富温泉の宿泊施設は10宿くらいだったが、閉鎖が相次ぎ、今や6宿+日帰り1施設に減った。



    温泉宿
    ・ホテル豊富 (80室)
    ・ニュー温泉閣ホテル (30室)
    ・川島旅館 (14室)
    ・福ノ家旅館 (7室)

    温泉は引いていない宿
    ・町営 湯快宿 (7室)→皮膚疾患の方々の長期湯治専用
    ・HOTELウィン (10室)→各室にキッチン付

    温泉ありの町営日帰り施設
    ・ふれあいセンター

     自炊できる宿は、「町営 湯快宿」と「HOTELウィン」のみ。ただし、前者は観光客を受け付けていない。
    のれん
     稚内駅の待合室に佇む、立ち食いスタイルの駅そば屋さん。

    稚内駅看板
     札幌から特急列車に5時間揺られ、日本の「てっぺん」へ着いた。座りっぱなしでいささか疲れたものの、遠路はるばるやってきた達成感に酔いしれる。

    鉄路はここでおしまい
     稚内駅を出てすぐ、おなじみの撮影ポイントがある。

    稚内駅
     稚内駅から最南端の西大山駅までの最短距離は、およそ3,100キロメートルらしい。そう考えると、札幌駅→稚内駅の396キロメートルは、かわいらしい距離に感じてきて、疲労もすっ飛んだ。

     最北端界隈の温泉宿を、2泊3日でめぐる旅。まずは腹ごなししよう。

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