札幌から行く 『温泉宿』

    温泉宿 「宿泊」 好きな札幌人。風呂、食事、部屋、もてなし・・・ 「湯宿をめぐる冒険記」 & 「雑多な温泉話」

     最初に記しておくと、この湯宿に2食付5,650円で泊まった。デフレな世の中だから値下げしたわけではない。昔から、こんな感じなのだ。福島市の市街地から近いこともあって「(客層は)仕事の人とか、結構多いですよ」と、4代目主人はいう。


    駅前旅館な風情

    駅前旅館な風情
     飯坂温泉駅から徒歩1分。駅前旅館という名がふさわしい佇まいに、当方はシビレタ。ただし、観光気分のラブリーなカップルは「なんじゃこりゃ」と、涙目になるのかな。予約時にこの宿泊料を提示された段階で、ちゃんと察するのがオトナというものさ。
     創業は明治時代にさかのぼるが、1944年(昭和19年)に飯坂大火で宿が燃えてしまったそう。今の建物はその後に建てた&増築したもの。



    ボリューム満点な夕食

    ボリューム満点な夕食
     夕食と朝食ともに客室で、いわゆる一気出しだけに、天ぷらは人肌のあたたかさだし、全体的に「家庭料理の腕前ですが、旅館料理な感じで作りました」な食事内容。それを差し引いても、この夕食の品数の多さとボリュームに対し、びっくりした。とにかく、腹いっぱいになるなあ。




    「イイザカ」の湯を堪能

    家族風呂は狭いが、天井は高い大浴場も天井は高い
     大きめな浴場(と言っても3~4人で入浴すればいっぱいな湯船が1つ)は、女性が入浴している時は紳士チックに遠慮するのがマナー。その際は家族風呂を楽しもう。湯に細工していない熱々の飯坂温泉の湯を堪能できる。


    十綱橋
     飯坂温泉駅併設のコンビニへビールを買いに行こうと、玄関へ。もぞもぞ靴を履いていると、「いってらっしゃい」と声が聞こえてきた。振り向いても誰もいない。なにやらホラーな話かと一瞬思ったが、そうではない。玄関の横にこの湯宿を経営している家族の「茶の間」があって、現主人に代を譲った3代目の主人とその女将がくつろいでいたのだ。聞こえてきた声は、障子戸越しだったというわけ。家庭的な宿、という言葉が脳裏に浮かんだ。

     夕食・朝食ともに部屋食ゆえに、布団の上げ下げを含め、4代目主人が足繁く客室へ来てくれる。必然的に四方山話に花を咲かせ、旅情も増したなあ、と振り返る。
     北海道から飛行機代をかけて、この湯宿を目当てに泊まるって、ちょっとムツカシイかも知れないが、福島に出張で来たついでに泊まる、流浪の旅の途中に1泊したい、とにかく安く湯治したい、な人はオススメかな。
     当方が住む札幌の近場(定山渓温泉etc)に、こうした湯宿があれば、通っちゃうかも知れない。

    朝食全景
    ・しゃけ焼
    ・ハム レタス
    ・佃煮
    ・きんぴらごぼう
    ・ラヂウム玉子
    ・パック納豆
    ・味付のり
    ・漬物2種 梅干
    ・白米
    ・味噌汁

    ラヂウム玉子の包装は、レトロな感じ
     ラヂウム玉子とは、「福島県飯坂温泉名物 源泉天然温泉玉子」だった。

     当方指定の7時30分前に、宿主が布団を下げてくれ、夕食と同様に部屋食。

    夕食
     宿指定の18時から、客室で部屋食。一気出し。

    浴室

    脱衣所前

    温泉分析書 平成17年2月21日付
    ・源泉名「飯坂温泉 若竹分湯槽」
    ・単純温泉 60.0度 pH8.6
    ・成分総計809.5mg/kg
    ・蒸発残留物805.3mg/kg

    脱衣所内
    大浴場の看板
     脱衣所&浴室は1つしかないので、女性が入浴している場合、男性は遠慮しよう。

    外観
     福島交通飯坂線の終点・飯坂温泉駅から徒歩1分。

    スリッパが並ぶ玄関
     木戸をがらり開けると、宿主が対応してくれ、今宵の客室へ案内してくれた。

    客室のドアを開ける


    【ラーメン 530円】
    ラーメン530円
     鶏がらベースの醤油スープが、自家製ストレート麺に絡む。


    【餃子6個 430円】
    ぎょうざ430円
     鉄鍋で焼く餃子は野菜たっぷり。タレは自家製。

     どうやら、飯坂温泉は餃子で町興しを図っているよう。飯坂温泉観光協会作製の「いいざか餃子マップ」には、吉原食堂を含め、6店舗紹介されている。


    吉原食堂
     出前用のスーパーカブがよく似合う店構え。

    店内
     昭和13年創業。11~15時、17~22時(スープなくなり次第、終了)、木曜定休。

    温泉宿 最盛期の6割減

     2両編成の電車は、住宅街を縫うようにコトコト走る。大正13年(1924年)開業の鉄路は、福島駅から飯坂温泉駅までのわずか9.2キロメートルを23分で結ぶ。

     飯坂温泉は、弥生式時代の西暦200年に日本武尊(ヤマトタケルノミコト)が湯を発見したという伝説がある。江戸時代には温泉場として発展していたらしく、松尾芭蕉は1689年に泊まっており、鳴子、秋保とともに奥州3名湯と呼ばれていたそう。なんだかスゴイ歴史だな。

    十綱橋
    花水坂駅前の案内所 福島市の「奥座敷」として栄え、高度経済成長の後押しを受けてさらなる開発が進み、いわゆる温泉歓楽街として賑わった。ホテル聚楽のテレビCMが懐かしい。

     最盛期には120軒の温泉宿があったと聞くが、現在は48軒。実に6割減である。


    廃業1
     放置された廃業宿は、散策して数えてみた限り、6軒あった。鉄筋の大型ホテルが野ざらしのケースもあり、景観を損ねている点は、観光地として大きなデメリットだ。



    再生プロジェクトが始動

     伝統ある湯の街を再生すべく、福島市は再生プロジェクトに乗り出した。国土交通省・まちづくり交付金を獲得し、17億円かけて温泉街の大改造を平成18年度から進めている。

    ・摺上川(すりかみがわ)沿いに公園新設&波来湯(公衆浴場)改修
    ・旧堀切邸(鯖湖湯の近く)を活用し、イベント会場、足湯・手湯などを整備

     道路や街灯、飯坂温泉駅の整備も行う。

    鯖湖湯
    鯖湖神社
     公衆浴場・鯖湖湯の周辺は、「ほりえや」「なかむらや」といった風情ある湯宿が並び、鯖湖神社、足湯などがある。すぐ近くの旧堀切邸が整備されれば、鯖湖湯の周辺は、飯坂温泉の「顔」として、さらに観光客で賑わうだろう。

    町並み
     一方、温泉宿、飲食店、商店、住宅が入り乱れている飯坂温泉の街並みを「和風」へ統一するため、家屋や店舗を改修する住民に対し、補助金制度が設けられた。
     じわり時間をかけながら、温泉情緒をかもし出す街づくりを進めていくようだ。



    公衆浴場9ヵ所 ピリリ熱湯

    仙気の湯
     飯坂の湯は、無色透明の単純泉で、源泉は60度近い。集中管理している源泉は15ヵ所あり、共同浴場は9ヵ所(波来湯は改修のため休業)を数え、早朝6時から夜10時まで湯銭200円で営業している。
     
    切湯
     地元客に混じり、切湯でザブリ。ピリリ熱い湯が肌を刺す。湯温計をみると47度だった。アツアツゆえに湯上り後は肌に水滴が残りにくく、体もポカポカだ。

    飯坂 飯坂地区の住民は1,500人ながら、宿で勤めている従業員や出入り業者、そして観光客を合わせれば、たくさんの人間が飯坂温泉へ出入りしており、大きなマーケットだ。

     飯坂温泉の取り組みは、日本全国で不況にあえいでいる温泉街のモデルケースになるかも知れない。「多額の(国の)補助金があるから、いいですな」という指摘はさておき。

     「湯力」は十分あるのだから、今後の発展に期待したい。5年ぶりに訪れた取りすがりの旅人の、無責任な思いと申し添える。




     1泊した宮城県川崎町・青根温泉から、きょう泊まる湯宿がある福島県福島市・飯坂温泉までの道のりを記しておく。

    【ミヤコーバス】 宮城蔵王ロイヤルホテル前9時47分→白石駅10時28分 930円
    【JR東日本各停】 白石駅10時55分→福島駅11時29分 570円
    【福島交通飯坂線】 福島駅12時10分→飯坂温泉駅12時33分 360円

     この湯宿のキーワードは「美味い食事」「あふれる透明湯」「鄙びた風情」かしら。


    化学調味料は使用せず

     4代目主人が腕を振るう食事は、随所に技が光る。「前菜」を見ただけで、一目瞭然だ。

    手の込んだ前菜
     湯宿で食す前菜は、「量もちょっぴりだし、大して美味しくない」とあまり注目されない。いわゆる地味な存在だ。しかし、ちゃんとした料理人は前菜に力を注ぐ。「あっしはこういう腕前でございます。どうぞ、ごゆるりと堪能くださいまし」。客に対する料理人のメッセージが、前菜に込められている。だから、前菜が手製で美味ければ、その後に続く料理も総じて当たりのケースが多い。
     前菜に既製品を並べている湯宿では、他のメニューも「何をかいわんや」であろう。

     この湯宿は謳っている。「味を一定にするような化学調味料の類、既製品のものはもちろん、保存料や着色料などの不自然なものは、私たちの料理には使用しないことにしております」。夕食時、テーブルに置いてあった飲み物メニュー表に記してあった。夕食メニューは毎月少しずつ見直し、旬の食材を織り交ぜているようだ。



    湯に細工なし

    湯があふれる(本館男性浴室)
     加水、加温、循環、塩素系薬剤は一切行っていないという「細工なしの湯」にざぶり。透明な単純泉(源泉7本の混合泉)が湯船を満たし、ゆるやかに溢れていて、こざっぱりした泉質だった。

     本館も新館も湯船がぽつり1つあるだけで、浴室のデザインに目を引くものはなく露天風呂もないものの、夜中に1人静かに湯を味わう贅沢は味わえよう。



    風情ある本館 一部客室リニューアル

    渋い
     宿泊手続きする新館は鉄筋の造りで、素っ気無い外観だ。一方、本館は大正&昭和時代に建てられ、風情を感じる。2階部分が現在も湯治棟としての機能を持ち、素泊まりで値段も安め(宿泊料は未確認)ゆえ、長年の常連客のほか、車で15分の地にあるスキー場の客も泊まるみたい。2階をちらり拝見したが、10円を入れるガスコンロや流しがあり、館内では湯治客と思われるシニア層を見かけた。
     「風情がある」の言い方を変えれば「古い」のだが、共同トイレはウォシュレットだし、使用しないドアは布をかぶせておしゃれに見せるなどの工夫を感じた。

    鉄瓶
     泊まった客室は、1階の一部客室をリニューアルし、一般客用に整備したらしい。炉の炭火で鉄瓶の湯を沸かし、お茶をすするって、なんだか古き良きニッポン人を体感しましたなあ。

     スタッフの応対は素朴で自然体な感じ。夕方、玄関先でシニアな女性湯治客と話をしたのだが、夕食時に私の席まで食事を運んでくれて「あれー、スタッフだったんだ」と1人で笑う。私服姿だから勘違いしてしまった。
     帰りに最寄バス停(宮城蔵王ロイヤルホテル前)まで送迎してくれた20代とおぼしめき男性は、初々しくすがすがしい応対で印象に残っている。聞けば女将の孫という。

     「化学調味料」と「塩素系薬剤」がともに不使用の湯宿って、希少価値が高い。風情を残しつつ快適に改修するなど、4代目主人を中心に頑張っているようだ。もしも仙台市民だったら、常宿にしちゃいそう。これで10,650円なのだから。

    朝食1
    ・岩魚の干物
    ・煮物
    ・冷奴
    ・サラダ 半熟卵
    ・白米
    ・味噌汁

    朝食2
    ・松前漬
    ・煮物
    ・漬物

     夕食と同じ大広間で。各テーブルに番茶入りポット。

    夕食全景
     宿指定の18時から、大広間にて。お品書き付。

    食事処
    ・ビール(中瓶)630円
    ・日本酒(1合)「天賞 本醸造」525円、「乾坤一 特別純米辛口」735円、「蔵王 特別純米」735円
    ・冷酒(300ミリリットル)天賞1,050円
    ・岩魚骨酒1,525円
    ・ワイン(赤)グラス630円
    ・ウーロン茶210円

    伊達家の湯治場

     岡崎旅館での湯上り後、青根温泉街を散策した。

    青根温泉の案内

     青根温泉の開湯は、室町時代の1528年という。わが国への鉄砲伝来(1543年)、キリスト教伝来(1549年)よりも前だ。なんだかんだで、この湯をちゃんと活用し始めたのは1546年みたい。
     江戸時代(1603~1868年)は、仙台藩・伊達家の湯治場として栄えた。そういう歴史は「なんだか凄そう」と素直に思う。

     川崎町観光協会ホームページを見れば、青根温泉の宿泊施設は7施設。

    ・坊源
    ・お山のめぐみ とだ家
    ・山景の宿 流迪
    ・湯元不忘閣
    ・名号館
    ・旅館 山の湯
    ・岡崎旅館

    湯元不忘閣
     国道457号沿いに最も歴史を有する「湯元不忘閣」があった。日本秘湯を守る会加盟宿で、ここで長逗留した山本周五郎は、小説「樅の木は残った」を書き上げているそう。

     温泉街は、廃業した湯宿や商店が目立った。正直言って「温泉街」といった活気ある風情ではなく、山間の集落といった感じだ。土産屋が1軒あった。コンビニはない。



    足湯は2ヵ所

    【停車場の湯】
    停車場の湯
    足湯は2槽
    温泉分析書 平成17年4月12日付
    ・源泉名「大湯」
    ・単純泉
    ・31.3度 pH7.3
    ・成分総計297.6mg/kg
    ・蒸発残留物257.4mg/kg

     源泉温度通り、ぬるかった。夏場は快適そう。



    【朝日の湯】
    これが足湯
    勘違いして素っ裸で入浴しそう
    温泉分析書 平成17年4月12日付
    ・源泉名「不忘の湯」
    ・ナトリウム・硫酸塩・炭酸水素塩泉
    ・49.2度 pH7.4
    ・溶存物質総量1,154.7mg/kg
    ・蒸発残留物920.1mg/kg

     ここの湯は、ちょいと油臭がする。



    ピカピカな共同浴場あり

    車たくさん
     青根温泉に、共同浴場「じゃっぽの湯」あり。

    渋い
     湯治宿の名号館は渋い。右手に見える名号湯共同浴場は閉鎖されていた。

    青根洋館
     青根洋館は、作曲家・古賀政男氏の記念館である。青根温泉に滞在して「影を慕いて」という名曲を生み出したらしい。

    本館風呂
    のれん

    温泉分析書 平成12年4月12日付
    ・源泉名 大湯・新湯・山の湯・蔵王の湯・不忘の湯・花房の湯・新名号の湯(混合泉)
    ・単純泉 52.0度 pH7.5
    ・知覚的試験 無色澄明で、臭気・味ともにほとんどなく、弱アルカリ性
    ・溶存物質総量848.1mg/kg
    ・蒸発残留物709.5mg/kg

    脱衣所は寒い
     小ぶりの脱衣所で衣服を脱ぐ。

    湯気が舞う浴室
     引き戸を開けると、浴槽が1つ。湯があふれている。

    シャワーなし
     リンスインシャンプー、ボディーソープがあり、蛇口もあるものの、シャワーはない。床に胡坐をかき、湯船から単純泉を桶でくみ上げ、頭にざぶりかけた。

    湯口
     スタッフによると、湯に細工はしていないという。

     日帰り入浴を受け付けているようだが、受付時間・値段は未確認。

    国民宿舎チックな外観
     遠刈田温泉街からタクシー1,700円くらい、青根温泉にある鉄筋3階建てこじんまり湯宿。

    なぜか落ち着く
     玄関を開けて靴を脱ぎ、フロントでチェックイン手続き。ロビーのソファーでしばし待っていると、女性スタッフがやって来て、今宵の客室まで案内してくれるという。
     「こちら(今いる建物)は新館になっておりまして、お客様は本館でご予約を承っております」
     「本館はどこにあるのですか」
     「玄関を出て(新館の)裏側です」

     靴を履き、女性スタッフに誘導されるがままに、外へ出た。

     仙台市から遠刈田温泉(蔵王町)まで、宮城交通のバスに乗れば、1時間10分くらい。

    バス停
     仙台駅前34番のりば11時28分→遠刈田温泉湯の町12時40分。

    遠刈田の街並み
    遠刈田の地図
     飲食店、商店、湯宿、個人宅が混在している、ちょっとした温泉街になっていた。標高330メートルに佇んでいる。

    食べ歩きの街 遠刈田
     「食べ歩きの街 遠刈田」を謳っており、地元観光協会では500円で食べ歩きチケットを販売しているらしい。「三醍(さんだい)揚げ」というご当地名物に加え、「豆腐屋で油揚げ」「肉屋でメンチカツ」「レストランでいがった揚げ」「4店舗のうち、1軒でソフトクリーム」のいずれか1品をゲットできる。
     そう言えば、街中には飲食店が目立つ。「食堂の手打そば」「蕎麦屋の名物かもそば」「寿司屋のびっくり天丼」「レストハウスのピザ」「肉屋のカレー」などなど、気になるキーワードだな。
     13時を回ったが、仙台駅で食した鶏から揚げそば360円の腹持ちが良いため、昼食は抜こう。

    神の湯
    神の湯・足湯
     街の中心部に2006年改装した「神の湯」という共同浴場があり、足湯と観光案内所を併設している。

    壽の湯
     もう1つの共同浴場「壽の湯」で入浴した。300円を受付の男性に手渡し、ナトリウム・カルシウム-硫酸塩・塩化物泉の熱々な湯を味わう。手狭ながら地元客で賑わっており、聞けば、10年くらい前に現在の建物に改築したそうだ。営業時間は早朝5~8時、9時半~22時半。

     予約している湯宿は、5キロほど山奥の青根温泉にある。観光案内所によると、ここからバスは出ておらず、タクシーで行かねばならない。
     温泉街にある観光タクシー会社に行くと、乳飲み子をおぶった年若い女性が対応してくれ、タクシーが戻るまで暖房の効いた事務所内のソファーで待たせてもらう。もう1つのソファーでは初老の男性がうたた寝しており、テレビでは天皇杯サッカー準決勝が放映されていた。

     いざ、タクシーに乗って、今宵の湯宿まで初老の運転手さんといろいろ会話したところによると、「遠刈田温泉のある蔵王町は人口13,000人弱。遠刈田温泉を中心とする複数の温泉旅館に加え、別荘が2,000戸あり、その大半に温泉を引いている」そうだ。

     これから行く青根温泉は、隣町の川崎町(人口9,900人)、標高600メートルにある。

    鶏から揚げそば360円
     この店の名物で、ボリューム満点と謳う、「鶏から揚げそば」は360円だった。
     数年前に同じメニューを食した際は、「から揚げが冷たい&火が通っていないな」とマイナスイメージだったが、今回は熱々のから揚げを味わえた。

    立ちそば処 杜
     仙台駅の改札をくぐった構内の店舗で食す。後で気づいたが、改札をくぐらなくとも同じ屋号の店舗があった。
     営業時間6時30分~23時00分まで。

     この後、仙台駅前の自家焙煎・珈琲の店「とーもん」で、ブレンドコーヒー280円をすすり、バスで温泉地へ移動する。

     ウワサの日本航空(JAL)で企画している「マイル」が15,000マイル貯まった。国内線往復フライト券1人分と無料で交換できるだけに、まとまった休みが確保できる年末年始、オトコ1人で新千歳空港からどこか遠くへ羽ばたきたいな。

    JAL機
     12月初旬、JALホームページを通じて予約を試みると、予約できる路線・時間帯は限られていた。九州の温泉地を攻めたいが福岡は×、山陰へ行くにしても伊丹、関西は×。アレレだな、と花巻など地方空港へ目を向けても軒並み×。では、羽田・・・早朝or夜間の便のみ予約OK。
     どうやら、便数が多い路線の「早朝or夜間」便しか空いていないみたい。年末年始の繁忙期だし、そもそも「タダ」だから、そうなのだろうな。

    飛行機の窓から望む。たぶん、岩手県辺りの景色
     結局、仙台行きが早朝or夜間であれば、予約できたので「ええい、ままよ」と手続きした。
     それにしても、新千歳空港から仙台空港まで、「JAL」は1日4便飛ばしている。「ANA」7便、「AIR DO」4便を合わせると、1日15便となる。ビジネス客の需要があると聞いているが、かなり多い印象を受けた。

     さて、東北の湯宿をゆるり攻めようか。仙台空港から電車やバスで行きやすい温泉地を選び、湯宿を吟味する。何度か泊まって土地勘のある鳴子温泉辺りに連泊し、生まれて初めての「自炊湯治」でも、と最初は思ったが、「新規の温泉地も良いな」な気持ちが増し、宮城、福島の湯宿にそれぞれ2食付で決めた。
     そう言えば、昨年末、青春18切符による東北旅を公言しておきながら、諸事情で中止した苦い実績があるだけに、今回はしっかり巡ろう。2泊3日と短いながら「オトコ1人旅」の始まりだ。

    客室タイプ 実にさまざま

     1957年(昭和32年)創業した「定山渓第一ホテル」は、昭和の風情漂う造りだったものの、2002年(平成14年)に現名称へ改め、垢抜けたホテルにリノベーションした。

    書道の大家である関野香雲氏の篆書(てんしょ)
     工夫していて面白いと思ったところは、62室ある客室のタイプが実にさまざまで、好みによって選べる点だ。

    【翠山亭フロア】
    ・7階12室 露天風呂付、部屋食
    ・6階10室 露天風呂付、松庵にて

     チェックインする場所が6階の専用ラウンジとは、なんともVIP待遇である。客室デザインは1部屋ずつ異なるだけに、「次はあのタイプの部屋に泊まろうか」とリピートする気持ちになりやすい。とは言え、休前日2人の宿泊料は、1人30,000円前後のよう。

    【一般フロア】
    ・4~5階40室
     →「和室10畳」「和室10+8畳」「バリアフリー和室・洋室」「45㎡湯の街側客室・森林側客室」「60㎡客室」

     今回、泊まった客室は「45㎡湯の街側客室」。檜内風呂+琉球畳のツインベッドルーム+広縁+デスクセットコーナーに加え、トイレ&洗面台がつく。1人21,000円。チェックイン時に、貸切風呂(1組3,150円)or森乃湯(1人525円)を無料サービスすると言われ、前者をチョイス。
     ちなみに「和室10畳」を選んでいれば、16,000円くらいだった。

    客室から風呂が丸見え。恥ずかしかったらブラインドを下げよう
     温泉が注ぐ檜内風呂は、こじんまりしているが、気兼ねなく入浴できて良いな。
     客室自体はシンプルなかっこ良さを感じた次第。




    熱々の天ぷら

    熱々(笑顔)
     館内に食事処は「炭火食事処 桑乃木」と「懐石食事処 松庵」の2ヵ所。少し宿泊料は高くなるものの、松庵での夕食を宿泊予約時にチョイスした。
     シティーホテルの和食処のような、品を感じる個室チックな席で1品ずつ食す。ああっ、天ぷらって、こんなに熱々な食べ物でしたっけ。湯宿における天ぷらは「人肌の温かさ」が主流で、「冷やし天ぷら」を売りとするところも散見される中、それは仕方ないと「飼い慣らされた」当方にとって、いやはや嬉しいサプライズではないか。美味し。

     松庵の食事内容は、春夏秋冬変えるほか、年末年始は正月料理となる。
     部屋食は7階客室に泊まる「VIP」客のみ。




    デザイン異なる大浴場 離れに森乃湯

    桂木乃湯の露天
     大浴場は夜中に男女入れ替えするため、デザインの異なる風呂を両方楽しめる。個人的に好きな湯船は「桂木乃の湯」の露天風呂。木のぬくもりを感じる造りからだな、きっと。言い方を変えれば、ここ以外の大浴場には関心を抱かなかった。

    夜の森乃湯ラウンジ
     敷地内に佇む離れの「森乃湯」は、シャンプーを置いておらず、純粋に湯浴みしてください、というコンセプトが良い。湯上りにラウンジでまったり過ごすと、時が立つのを忘れそう。

     そうそう、大浴場、森乃湯、客室風呂すべてに塩素系薬剤を投入しているそうだが、微量なのだろう。薬品臭はまったく感じず、湯を口に含むとほんのり塩気がした。

     全体的にこじゃれたハードで、パブリックスペースも充実しており、「お篭もり」するのが楽しい湯宿。客室の温泉風呂で湯浴み三昧しつつ、松庵での夕食は質が高くて満足した。「この湯宿ならではの特色を味わった」と感じ、21,000円は惜しくない。
     もしも、温泉風呂がついていない「和室10畳」+「夕食は桑乃木」16,000円だったら、他の湯宿との大きな差異が見出せず、「この値段だったら、あそこの湯宿の方が良いかな」と、ここまで満足しなかった可能性もある。5,000円の奮発が明暗を分けた。

    看板
    外観
     敷地内にある森乃湯は、宿泊者専用の風呂。1人525円払えば、何度でも入浴できる。ランクの高い客室に泊まっている人は確か無料なはず。

    玄関&フロント
    ラウンジ
     営業時間15~21時30分の間は、湯上りにドリンクサービスあり(1杯のみ)。翌朝6~10時まで。

    男女脱衣所前


     大浴場は「飛泉乃湯」と「桂木乃湯」があり、それぞれ造りが異なる。夜中3~5時に清掃後、男女を入れ替えるので、泊まれば両方味わえよう。

    ふろ出入り口

    温泉分析書 平成16年9月24日
    ・定山渓温泉第9号・第10号 混合泉
    ・78.6度(自然湧出)
    ・pH6.5
    ・ナトリウム-塩化物泉
    ・無色 澄明 弱塩味 無臭
    ・成分総計3.715g/kg
    ・蒸発残留物3.297g/kg

     桂木乃湯の脱衣所に掲示していた「大浴場のご案内」によると、湯使いは源泉温度が高いため「加水」のほか、入浴温度を保つ目的で源泉補充の上で「循環」、衛生管理のため「塩素系薬剤」も投入している。

     湯を手ですくって匂いを嗅いだが、塩素系薬剤臭は感じなかった。

     中2階の炭火食事処「桑乃木」で朝食バイキング。7~9時まで、自由な時間に訪れよう。
     本人確認は夕食と同様、チェックイン時に配られた「A4サイズの紙」。

    朝食
     あたたかいものはあたたかい、素材は「千歳産」など産地名をアピール。落としたコーヒーで〆。

    桑の木
     テーブル席で食す。

    看板
    玄関周り
     中2階の料亭チックな食事処「松庵」にて、当方指定の18時から。
     本人確認はチェックイン時に渡されたA4サイズの紙(当方の氏名と客室番号が記されているほか、宿泊案内が載ってある)を活用しており、スタッフに見せると、個室風なテーブル席に誘導してくれた。

    食事処
     松庵膳(冬の御献立)は、食前酒から始まる。季節限定の新酒セイベル(白)または十勝ワインヌーボ(赤)のどちらかを選び、乾杯しよう。前菜からスタートし、1品づつ頃合をみて提供される。デザートを終えるまで1時間30分かけて食した。お品書き付。

    ・生ビール630円
    ・中瓶ビール577円

    ・北海道の地酒(19種類)630~1,260円
    ・北海道産ワイン(13種類)3,150~6,300円
    ・シャンパン&スパークリングワイン(フルボトル5種類)2,520~25,200円
    ・シャンパン&スパークリングワイン(ミニ&ハーフボトル4種類)1,050~4,500円
    ・白ワイン(フルボトル8種類)2,730~5,460円
    ・白ワイン(ハーフボトル2種類)2,100円or2,835円
    ・赤ワイン(フルボトル15種類)3,150~14,700円

     ドリンクメニューは豊富。これ以外にもたくさんあるし、レモンサワーなどメニューにないものも、館内の炭火食事処「桑乃木」には置いてあるので、頼めば運んでくれる。

     飲み物を持参する場合は、「持ち込み料」を1組1,050円支払うこと。

    6階ヒーリングスパ

    出入り口
     意匠の異なる貸切露天風呂が館内に3ヵ所ある。40分間で各3,150円。
     ものは試しに「ヒーリングスパ」という風呂をチョイスした。

    外観
     定山渓温泉に佇む、7階建て全62室の湯宿。

    フロント周り
     フロントマンに宿泊の旨を伝えると、ロビーラウンジに通された。

    ロビーラウンジ
    チェックイン
     ソファーに座ってウエルカムドリンクをぐびりと飲みつつ、チェックイン手続き。女性スタッフの誘導で、今宵の客室へ。客室の鍵は2人分手渡された。




    45㎡ 湯の街側客室

    客室前廊下
     案内された客室は4階。

    ドアを開けて左を向く
     客室のドアを開け、バリアフリーな玄関で靴を脱ぐ。

    客室
    窓際から望む
     琉球畳の上にベッドが置いてある。

    茶菓子は2種類。「翠蝶の舞」が宿オススメ浴衣はS~LLまで4種類置いてある。子供用は有料。足袋もあった
    ドリップパックコーヒー!冷蔵庫内に冷水
    客室ウォシュレットトイレ&洗面台
     

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