札幌から行く 『温泉宿』

    温泉宿 「宿泊」 好きな札幌人。風呂、食事、部屋、もてなし・・・ 「湯宿をめぐる冒険記」 & 「雑多な温泉話」

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     伝統的な木造建築の温泉宿に飢えている。北海道ではとんとお目にかからないからだ。屯田兵による開拓から140年と歴史が浅い上、極寒と豪雪に耐えられる鉄筋造りの方が合理的だから仕方ない。道民の宿命なのだと言い聞かせる。

     そんな中、せっかく内地を旅するのだから、温泉や食事だけじゃなくて木造建築も味わいたい。1人客OKで手頃な宿泊料。探したらありました。山形県温海温泉に。



    木造建築の湯宿 

    夕暮れの宿
     木造3階建ての佇まいは、眺めるだけで心が落ち着く。「ニッポンっていいな」と素直に思う。

    玄関の戸
     廊下の板張りはピカピカきれいで飴色に仕上がっている。通された客室は広々とした数寄屋造りで、ウォシュレットトイレも完備するなど、快適に過ごせるようリフォームが施されていた。暖房も効いていて寒くなかったし。築60~70年という。



    白いケロリン桶

    舌代(ぜつだい)~申し上げますの意味
    ケロリン桶が誕生した昭和38年当初は白かったという。この湯宿の白いケロリン桶は真新しい
     小ぶりな浴室に浴槽が1つぽつり。特段の風情はないシンプルな造りだ。組合が管理している源泉3本の混合泉は、含石膏-食塩泉。加水のみで湯船から溢れている。透明でなめるとちょっぴり苦味を感じ、白い湯花が浴槽の底に沈んでいた。ざぶり入って、身体があたたまる。
     何より、白いケロリン桶を初めて目の当たりにした衝撃が大きい。



    地のもの、新鮮魚介

    新鮮魚介
    美味しい夕食は部屋食
    大広間で食べた朝食
     温海温泉自体は山の中にあるが、車で5分もすれば日本海に着く。
     「新鮮魚介」を謳うこの湯宿で、夕食に紅ズワイガニ、どんがら汁(寒鱈汁)といった庄内浜で獲れる郷土料理に舌鼓を打つ。刺身の鮮度も良く、茶碗蒸しはアツアツ。魚づくしのメニューは時に単調な味わいになりがちだが、エビやホタテの入ったグラタンがアクセントとなり食べ飽きない。温海かぶの漬物もいい味だった。
     朝食で供されたハタハタの煮付けも美味。旅行先では野菜不足になりやすい中、生野菜サラダがたっぷりで、これまた嬉しかった。



    創業380年 アットホーム

     かしわや旅館は創業380年で、江戸時代から続いている。宿リーフレットに宿主の名前が「18代目 齋藤庄左衛門」と記されており、いやはや貫禄があるなあ。

     なにやら格式の高い湯宿かと思いきや、さにあらず。旦那さん、女将さん、若旦那さん、若女将さんの家族経営で「札幌からようこそ」と歓待してくれた。

     「わたし、札幌は3~4回行ったことあるんです」。客室に夕食を運んでくれた若女将がいう。「観光ですか」「ええ、あの、実は大泉洋のファンなんです」「あれ、そうなんだ。じゃあ、HTB行った?」「はい」「平岸高台公園は?」「もちろん行きました。聖地ですから」。2人とも思わず笑ってしまう。コミュニケーションを深めようと話してくれた若女将さんの気遣いが嬉しい。
     札幌と山形県温海温泉は、縁もゆかりもないものの、こんな会話を通じ、点と線がつながって、ぐっと身近に感じられるようになった。

    ロビー
     この湯宿は爽やかな若旦那さんを中心に、嫁いだばかりの若女将さんも張り切っていた。宿前の木に電飾を施すとともに、玄関内にモスバーガーのような黒板を置いて「あつみ温泉へようこそ」とチョークでかわいく記し、夕食デザートに若女将考案のカルピスババロアを供するなど、代々続く伝統を守りつつ新しいカラーを出そう、そして自分たちの湯宿を盛り上げていくぞ、という気概を感じたな。

     じゃらんネット「源泉かけ流し。気軽に温泉満喫プラン」で、9,450円。じゃらんポイントを使って8,550円だった。夕食のボリュームが通常料金12,800円より少なめと言うが、東北1人旅3日目で少し疲れていたせいか、ちょうど良かった。

     手入れの行き届いた木造建築をリーズナブルに楽しめ、魚づくしの料理も美味い。何より爽やかな接客が感じ良かった。客室数8室のこじんまりした風情で、思わぬ穴場宿かも知れない。



     札幌への帰り道は、日本海に近い温海温泉(山形県)から、太平洋側の仙台まで行って、そこから飛行機で北海道へ。やっぱり遠かった。

    ・温海温泉センター08:57→鶴岡エスモール10:07(乗合バス)
    ・鶴岡エスモール10:30→山形駅前12:27(高速バス)
    ・山形駅12:41→仙台駅13:58(JR)   
    ・仙台駅15:32→仙台空港15:56(仙台空港鉄道)
    ・仙台空港16:40→新千歳空港17:50(JAL)
    ・新千歳空港駅18:19→札幌駅18:55

     年末の東北1人旅はおしまい。見知らぬ土地をうろちょろするって、とっても楽しいな。

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    朝食全景
    ・白米(おひつに2膳分)
    ・あさり味噌汁
    ・ハタハタ煮付
    ・ほうれん草胡麻かけ
    ・サラダ
    ・なめこ
    ・温泉玉子
    ・味付のり
    ・焼しゃけ
    ・漬物
    ・みかん

    朝食会場
     指定した7時30分から、1階大広間で。

    夕食
     指定した18時から、客室で。デザートを除き、一気出し。

    脱衣所前
     男女別に内風呂がある。夜通し入浴OK。
     日帰り入浴10~15時、500円。

     湯船に注ぐ源泉は「温海温泉 5号、6号、7号」。水道水を加えた湯が、湯船からあふれている。加温、循環、殺菌は一切やっていないと脱衣所に掲示してあった。

    温泉分析書 平成10年10月25日
    ・温海温泉 5号、6号、7号
    ・採水位置 温海町大字湯温海丁3番地先
    ・ナトリウム・カルシウム-塩化物・硫酸塩泉(旧・含石膏-食塩泉)
    ・63.5度
    ・pH7.3
    ・蒸発残留物2,241mg/kg

    外観
     客室8室。

    ロビー
     宿帳記入は客室で行うということで、すぐに客室へ通された。

    フロア
    部屋廊下
    客室前廊下


     山形県の内陸部(最上地方)にある羽根沢温泉(鮭川村)から送迎車で新庄駅へ。3泊4日東北1人旅の最終日は、同じ県内で日本海に面した庄内地方の温海(あつみ)温泉を目指す。乗り継ぎの待ち時間は、見知らぬ街を散策して過ごした。

    ・新庄駅10:14→余目駅11:01
    ・余目駅12:26→鶴岡駅12:42
    ・鶴岡駅13:40→温海温泉駅14:17

    バスのりば
     海沿いの温海温泉駅に着き、ここから山の中の温泉街へ。ちょうど良い時刻のバスがなかったため、タクシーに乗った。およそ1,000円。

    飲泉所
     温海川に沿って温泉街が形成されている。湯之里橋のど真ん中に飲泉所があり、口に含むと塩気を感じた。

    温泉街
    あんべ湯
     湯宿は10軒あり、大型ホテルもあれば、こじんまり宿までさまざま。足湯も整備されていた。 

    朝市
     温海温泉の名物と言えば、朝市に他ならない。270年余の歴史を誇るから、ああ、江戸時代から続くのか。4月1日~12月5日の期間限定開催ながら、地元の方々が漬物、山菜、海産物などを売っている。「少しまけてくれない」などと値引き交渉しながら、浴衣姿で買い物も楽しい。

     そう言えば、温海温泉は開湯1,000年以上と言われており、鎌倉時代には湯治場として既に盛り上がっていたらしい。共同浴場は3ヵ所あるそうだ。

     今宵の湯宿は、どんな感じだろう。

     山形県の内陸北部にある鮭川村・羽根沢温泉は、湯宿が3軒の静かな温泉地で、重曹泉タイプの「美人の湯」が評判だ。温泉評論家・郡司勇さんは著書「秘湯、珍湯、怪湯を行く!」(角川oneテーマ21・2005年発行)で、「つるつる感が強い」「個性がある」と評している。

     「確かにうちの湯は、つるつるしますね。にゅるにゅる、とおっしゃる方もいます」。送迎車を運転する松葉荘のご主人が笑顔でいう。「お湯を目当てに来ました。とっても楽しみです」。



    湯が「つるんつるん」

    大きい方の浴室
     宿に着くなり、さっそく風呂場へ。湯気が舞う浴室で身体を洗い、透明な湯に身を沈める。少々熱いと思ったが、すぐに慣れてきた。そして手足を撫ぜると「ああ、つるつるする」。個人的には、つるつる以上、にゅるにゅる未満という感じ。「つるんつるん」がしっくりくるかも知れない。湯上がり後、肌がしっとりスベスベする。

     湯の特徴は、肌触りだけではない。ちょっぴりアブラとタマゴの匂いが鼻腔をくすぐり、口に含むと塩味を感じる。湯口にかぶせた網袋に、黒い湯花がたまっていた。

    右の小さな小屋が共同源泉 浴室棟のすぐ隣に、羽根沢温泉の共同源泉があり、距離にしてたった1~2メートルの近さ。何も手を加えない湧きたての新鮮な湯をそのまま湯船に注ぐとは、贅沢な湯使いだ。男女ともに内風呂が1つあるだけのシンプルな造りが、控えめで奥ゆかしい。

     一方、同じ共同源泉を使用している共同浴場(200円)と加登屋旅館(300円)も入浴した。どちらも「つるつる感」は変わらないものの、共同浴場の湯はタマゴの匂いが強い。引き湯しているパイプがくねくね曲がりながら数百メートルもあるため、パイプ内に硫化水素の成分がこびりつき、タマゴの匂いを高めていると思われる。
     加登屋旅館の場合、あまり匂いは感じず、湯は足先が見えないほどグレー色だった。これは加温・循環・殺菌が原因だろう。同じ源泉でも環境や利用方法で大きく違ってくる。「温泉は生き物である」と、五感で感じた。



    実は美味い

    美味
     正直いって、食事は期待していなかった。2食8,000円で1人旅を受け入れてくれるのだから、温泉さえ味わえればそれで良しと。
     ところが客室で食した夕食は、馬刺し、鯉の甘露煮、ハタハタ田楽、もつそばが並び、朝食は納豆汁と、地元の郷土料理が供された。宿泊料以上のこだわりと思う。

     帰宅後、あれこれ調べてみると「温泉・宿ガイド 南東北」(山と渓谷社・2003年発行)で、松葉荘を紹介するページを発見。

     「料理を担当する息子さんは、宮城県の鳴子温泉の某ホテルで修行を重ねた一流の腕前。皇太子様が宮城国体で鳴子温泉においでになった際、その料理のすべてをまかされたという実績をもっている」(285ページ)

     一流の腕前を持つ息子さんとは、現在は跡を継いで奮闘する3代目ご主人だったようだ。大変美味しゅうございました。



    身もココロもあったかい湯宿

    こたつ大好き
     「お風呂どうでしたか」。湯上がり後、廊下で女将さんに声をかけられた。「いやー、お湯がつるんつるんしますね。肌もとってもしっとりして」「あらあ、良かっだね」。にこにこ笑顔の女将さんの、ちょっぴり山形弁イントネーションがかわいらしい。
     それにぱっと見て感じたのが、女将さんの白い肌がつやつやしているな、と。そう言えば、ご主人も健康そうなピカピカ肌だし、やっぱり温泉パワーはスゴイ。「美人の湯」に偽りはなかった。

     湯が良くて、食事も美味い。ご主人と女将さんの家族経営で、つかず離れず、にこやかな応対が心地良い。風雪に耐えるハードは年月を感じるものの、「見た目より中身」を重視するホンモノ志向の温泉ファンならば、きっと満ち足りるだろう。松葉荘を選んで良かったって。

    朝食
    ・白米(おひつ)
    ・納豆汁
    ・焼シャケ
    ・目玉焼
    ・わらび煮
    ・おひたし
    ・納豆
    ・いか塩辛
    ・漬物
    ・味付のり

    インスタントコーヒー
    ・食後のコーヒー

     指定した8時から、客室で。

    夕食全景
     指定した18時から客室で。一気出し。

    こたつで食す
     こたつで食す。

    玄関
     羽根沢温泉(山形県鮭川村)に湯宿が3軒ある。せっかくなので日帰り入浴した。300円。

    ロビー
     ロビーの囲炉裏に、冷水、お茶、黒豆の煮付け、新聞が置いてあった。

     羽根沢温泉の源泉は1つ。各宿、共同浴場ともに同じ湯が注がれている。

    温泉分析書 平成15年12月24日
    ・温泉地名 羽根沢温泉
    ・採水位置 鮭川村大字中渡1321
    ・ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物泉
    ・47.2度
    ・pH8.4
    ・蒸発残留物 2,957mg/kg
    ・溶存物質総量3,848mg/kg

    のれん
     羽根沢温泉唯一の食堂。


    中華そば480円
    中華そば480円
     麺柔らかめ。スープ甘め。


    メニュー
     湯治していれば、宿に出前もしてくれる。

    ふろ
    温泉分析書 平成15年12月24日
    ・温泉地名 羽根沢温泉
    ・採水位置 鮭川村大字中渡1321
    ・ナトリウム-炭酸水素塩・塩化物泉
    ・47.2度
    ・pH8.4
    ・蒸発残留物 2,957mg/kg
    ・溶存物質総量3,848mg/kg

     男女別に内風呂あり。夜中に掃除することも。朝になったら男女を入れ替えていた。

     日帰り入浴も受け付けているらしい。営業時間・料金は見かけなかった。

    外観
     羽根沢温泉の一番奥にある。15室。

    玄関
     すぐに客室へ通してくれ、室内で宿帳に住所氏名を記入した。

    バス停 前泊した鳴子温泉(宮城県大崎市)を去り、きょうは羽根沢温泉(山形県鮭川村)へ向かう。

    ・鳴子温泉駅10:05→新庄駅11:08

     ここから羽根沢温泉まで距離にして20キロメートル強。村営バスは「県立病院⇔羽根沢温泉」の1日1本しかなく、鮭川村に住む高齢者が新庄市内の県立病院へ早朝行って、夕方戻ってくるダイヤ編成のようだ。県立病院から夕方のバスに乗れば、羽根沢温泉に着く。タクシーは片道5,500円かかる。

     公共交通で旅する者にとって、羽根沢温泉は近くて遠い。そこで電話予約時に宿へ送迎を頼み、当日は携帯電話でご主人とやり取りしながら、新庄駅まで迎えに来てもらった。

     新庄市街を抜けた辺りで送迎車の窓外に目をやると、そこは鮭川村だった。人口5,000人で村名のように「鮭」が遡上する自然環境に恵まれ、きのこ栽培が有名だそう。きのこ生産量が全国3位の山形県にあって、鮭川村は県内生産量の6割を占めている(鮭川村観光案内リーフレット)。

     雪で一面真っ白の田んぼが広がり、きのこ工場が点在している。最上川の支流「鮭川」を越え、細い雪道をくねくね進んだ先に、温泉街が見えてきた。

    温泉街中心部
    共同浴場
     むかし経営していたであろう宿、土産屋、商店は、のれんを下ろしたまま。現在、宿3軒と食堂1軒が営業しているほか、無人の共同浴場が1ヵ所あり、静かな湯治場の風情だ。

     羽根沢温泉の歴史は大正8年(1919年)に始まる。当時の日本石油株式会社が、石油目当てに試掘したところ、お湯が出ちゃったそう。天然ガスも吹き出ている。北海道で言えば、豊富温泉長万部温泉と同じ経緯である。

     源泉小屋から各宿と共同浴場に分配されている湯の泉質はナトリウム-炭酸水素塩・塩化物温泉。昔でいう「含食塩重曹泉」で、ツルツルする肌触りながら、塩分で身体もあったまる湯と聞く。

    看板
     重曹泉は「美人の湯」と誉れ高いだけに、羽根沢温泉では「美神の湯」と銘打ってアピールする。源泉が間欠泉で1~2秒単位で数メートル噴き上がることに着目し、観光客が見学できるよう整備する計画も浮上。かつて利用していた天然ガスを再び活用できないか模索もしている。

     こじんまりした閑静な環境で、湯に特徴があって共同浴場もある。最寄駅の新庄駅は山形新幹線の終着駅だから、首都圏からのアクセスも良い。なにかをきっかけにブレイクする可能性を秘めた穴場の温泉地かも知れないな。掘り出し物を探し当てたような、わくわく気分になってきた。

     「全国技能グランプリ・日本料理部門2位の料理」。こんな宿ホームページのうたい文句に誘われた。夕食・朝食ともに客室でゆっくり食せるのも魅力的。平日ならば1人客でも受け入れてくれ、宿泊料は10,650円。どんな塩梅だろうか。

    技を感じる旅館料理

    器の彩りも美しい夕食
     配膳された夕食は、奇をてらったメニューはなく、品行方正な「旅館料理」だった。だから、ぼんやり食べてしまえば「ありきたりですな」と受け止め、記憶に残らないかも知れない。

     よくよく目を凝らせば、もずく酢に添えられているキュウリに包丁細工が施され、後出しされた天ぷらの歯ごたえがサクサクだったりする。全体的に味付けがやわらかいので、年若い仲居に聞けば「化学調味料は一切使っておりません」という。食材は地のものを中心とした国内産にこだわり、すべて手作り。夕食メニューは月替わりらしい。

    さくさく天ぷら
     見た目の派手さはないものの、手間ひまかけている姿勢がうかがえ、心意気を感じる。贅をつくした料理を求めるならば、もっと宿泊料の高いプランを選ぼう。別注文で「和牛石焼ミニステーキ」1,050円も人気らしい。あと、地味に朝食が美味かった。

     そうそう、全国技能グランプリとは何か。主催団体は中央職業能力開発協会と全国技能士会連合会。昭和56年~平成14年まで毎年開催され、平成16年以降は隔年開催となっており、全国からいろんなジャンルの「プロ」が参加して技を競う。「日本料理」以外に「印章木口彫刻」「畳製作」「建築配管」「プラスチック系床仕上げ」など多数。渋い。

     この湯宿の料理長は平成11年の第18回大会で2位となった。それ以降も全国日本料理コンクール(日本料理研究会主催)、日本料理技能向上全国大会(日本全職業調理士協会主催)で、さまざまな賞を受賞している。宿リーフレットに「賞を取るのが目的ではなく、少しでも美味しいものをお客様に、との思いで頑張ってまいりました」と、料理長のコメントが記されていた。日々精進している謙虚な姿勢が素晴らしい。



    鳴子の真ん中 こじんまり

    昔は「不気味」と思っていた鳴子こけし。今は「かわいい」な。
     大正2年(1913年)開業だから、あと少しで100周年を迎える。23軒の湯宿がある鳴子温泉において、温泉街の中心に佇み、客室15室とこじんまり。フロントに申し出れば、共同浴場「滝の湯」の無料入浴券、「早稲田桟敷」の割引入浴券を入手でき、ぶらり温泉巡りも楽しめる。

    特色に乏しい風呂大崎タイムス(日刊・月2,100円)&河北新報 冬空ゆえに寒くて面倒だから、ずっと宿に籠りきりだった。ロビーで地元紙「大崎タイムス」を読み、飾ってある鳴子こけしを眺め、白い湯花が底に沈んでいる含硫黄-ナトリウム-硫酸塩・塩化物泉の透明な湯にざぶり。

     馬場温泉から3キロメートル余歩き、ようやく到着した時に出迎えてくれた若女将の笑顔が優しかったのが印象的。滞在中はいい意味でほったらかしてくれ、気兼ねなく過ごせたな。

    フロント周り


    朝食
    ・銀だら焼
    ・揚げ出し豆腐
    ・温泉玉子
    ・煮物(ふき、ちりめんじゃこ)
    ・漬物
    ・梅干
    ・焼き海苔(袋に宿名)
    ・白米(1人用おひつで)
    ・味噌汁
    ・グレープフルーツ、ぶどう
    ・自家製ヨーグルト

     指定した7時30分から。客室にお膳を持ってきてくれた。

    夕食
    部屋食
     指定した18時から客室で。後出しあり。

    のれん
     温泉分析書 昭和54年2月10日
    ・町有源泉下地獄混合泉(源泉名)
    ・鳴子町字新屋敷68-4、69-3(湧出地)
    ・殆ど無色透明、苦味を有し、硫化水素臭を放つ(知覚的試験)
    ・76.0度
    ・含硫黄-ナトリウム・硫酸塩・塩化物泉(硫化水素型)
    ・pH6.0
    ・1,037.6mg/kg(溶存物質総量)
    ・965,0mg/kg(蒸発残留物)

     宿ホームページによると、水道水で加水した湯を「かけ流し」している一方、湯船にたまった湯は、湯温を均一化&ゴミを除去する前向きな目的で循環している。塩素殺菌は一切していない。「いわゆる少ない源泉を補う為に行う循環・ろ過・加温ではございません」という。

     21時30分で男女入れ替え。夜通し入浴OK、朝9時半まで。
     日帰り入浴12時00分~15時00分まで、600円。

    外観
     鳴子温泉街の中心部に佇む15室の湯宿。

    玄関周り
     フロントで立ったままチェックイン手続きし、客室まで案内してもらう。

    客室玄関
     客室に通された。



    客室「東雲」
    6畳
     和室6畳。ウォシュレットトイレ、洗面台付。

    こじんまり客室玄関の周りに洗面台&ウォシュレットトイレ浴衣、タオル(宿名入り)、バスタオル、歯ブラシ有料ドリンクで満杯の冷蔵庫茶菓子客室景色
     一通り揃う客室。

     3泊4日で宮城と山形の温泉宿を巡ることにした。いわゆる東北1人旅である。

    ・札幌駅6:34→新千歳空港駅7:13
    ・新千歳空港7:50→仙台空港10:00(天候不順のため1時間遅れて着陸)
    ・仙台空港駅10:35→仙台駅11:00
    ・仙台駅11:42→古川駅11:56(新幹線)
    ・古川駅12:12→鳴子御殿湯12:51



    馬場温泉
     鳴子御殿場駅から15分くらい歩いただろうか。馬場温泉に到着した。外見が蔵を思わせる小ぎれいな造りで、宿泊OK。ドアを開けて「外に佇む湯小屋に浸かりたい」旨を申し出て、300円支払った。ちなみに宿内の風呂は日帰り400円。

    湯小屋の看板
    これが湯小屋
    大根
     小ぎれいな湯小屋は、ちっちゃい。浴室は一つだけで、ドアに「入浴中」の看板あり。確かに耳を澄ますと「ざっばーん」と湯浴みする音が聞こえてくる。きっと地元のおじさまなので、そのまま突入しようかと思ったが、貸切で入浴したい気持ちが強かったため、付近をうろちょろしながら待つ。

    思わぬ掘り出し宿

    1軒宿
     「雪深い山奥の一軒宿でのんびりしたい」。なんとなくカミホロ荘を選んだのだが、初めて泊まってみて「かなり頑張っているな、思わぬ掘り出し宿では」と感じた。風呂は木のぬくもりにあふれ、食事も美味しい、かゆいところに手が届くサービスの数々もいい感じ。これで福沢諭吉1枚程度の価格設定は、いやはや安い。思わず嬉し涙が出ちゃう。



    四方八方、木のぬくもり

    内風呂露天
     内風呂はオンコ、露天風呂はヒバ&ヒノキを用いている。湯船、床、壁、天井・・・四方八方、木のぬくもりだらけの浴室だ。酸性-アルミニウム・カルシウム-硫酸塩温泉の透明な湯に浸かると、どことなく木の香りが漂い、湯をなめると酸っぱさを味わえる。内風呂のオンコは張り替えてから1年ほど経つが、まだまだ真新しい。年月を重ねれば、渋みが増すかも知れない。

     露天風呂でまったりしていたら、髪の毛が瞬く間に凍ってしまう。突風でパウダースノーが舞うと、視界ゼロのブリザード状態となり、さらさらした細かい雪が気管に入り込んで息苦しく、思わず咳き込む。標高1,200メートルに佇む真冬の山宿ならではの体験だ。



    ふらの和牛+創作料理を味わう

    ふらの和牛洋皿炒め物
     レストランでの夕食は、宿泊料の高い順に「ふらの和牛」「かみふらの地養豚」「ふらの旬祭鍋」の3コースを用意しており、予約時に選ぶ。およそ1,000円刻みの価格設定となっており、「ふらの和牛」をチョイスした。
     「この和牛はね、地元産でね、キロ8,000円するんですよ」(スタッフ)。霜降りの肉が1人当たり3切れ提供され、ありがたくいただいた。少し物足りないくらいの量が美味さを引き立たせる。しみじみうんまい。

     他のメニューは、家庭的な味わいながら工夫が随所にみられる創作料理な感じ。お品書きには「魚介類はオホーツク産、野菜・肉は上富良野産、山菜やきのこはスタッフ自ら採取など、近郊の旬な食材提供を心掛けている」旨の記述あり。
     既にセッティングしていた3品を食べていると、5品+ごはん・吸物+デザートを後出ししてくれた。「温かいものは温かく提供する」という姿勢がスバラシイ。ただし、後出しのペースが夕食スタート後、30分間で5品が続々供されたため、「温かいうちに食べなきゃ」とあせってしまった。アルコールを飲みながらチビチビ食べている身にとっては、後出しのペースが遅い方が助かるのだが、この湯宿はフルコースの高級宿ではないので、贅沢を言ってはイケナイ。食事のペースは自分自身で保たなければ。



    かゆいところに手が届く

     予約時に、蒲団を「スタッフが敷く」「自ら敷く」の二者択一を求められ、後者をチョイスしたところ、チェックイン時にドリンク交換券をもらった。夕食の際に提示したら、発泡酒を2本プレゼント。これは嬉しい。進んでセルフサービスしたくなる仕掛けと思う。

    ドリンク交換券麦とホップ
    日刊富良野シャンプー
     廊下には製氷機や電子レンジがある。本棚に客が置いていった本が並び、日刊富良野という郷土紙をみて旅情を感じる。風呂場のリンスインシャンプー、液体&固形せっけんも品質の良いものを置いていた。

    送迎車
     冬場については、旭川と札幌から無料送迎(要予約)も企画している。えっ、札幌? テレビ塔前を13時スタート、カミホロ荘へ16時20分に着くという。送迎は毎日実施しておらず隔日なので注意が必要だ。帰りに旭川駅まで1時間半かけて送迎してもらい、1人当たり町営バス代500円+JR代810円=1,310円も得した。

     こんなふうに、さりげないサービスが散見され、かゆいところに手が届くなあ。これで「クリスマスカップルプラン」1人7,500円は破格値と言えよう。ちなみにこの宿、夏場のトップシーズンと冬場のオフシーズンで宿泊料が異なる。じゃらんnetを通じ、さまざまなプランが用意されているので、よりお得なプランを見逃さぬよう注意したい。冬場の土曜に、ふらの和牛プランで10,000円、12~1月限定の夕食が質素なプランならば6,000円で泊まれる。ちなみにプランが多いと選ぶのに疲れるという悩みは、贅沢過ぎるかしら。

    看板
     富良野からほど近く、夏の観光シーズンは混むかもしれないが、オフシーズンの冬場は静かで安い。築10年ほどの館内は小ぎれいだけに、老若男女問わず楽しめる。旅慣れた人ならば、コストパフォーマンスの高さを満喫できるだろう。

    朝食
     朝食は7時00分~9時00分の間に、夕食と同じ1階レストランでバイキング。

    のれん
     1階レストランは禁煙、飲み物持ち込み禁止。

    レストラン
     指定した18時から1階レストランで「ふらの和牛プラン」を食す。各テーブルにお品書きが1枚置いてあった。

    夕食
     順次、後出しされた。

    ・生ビール600円
    ・ビール中瓶500円
    ・日本酒各種400円~
    ・サワー各種500円
    ・ハイボール400円
    ・ワイン180ミリリットル550円
    ・ワイン362ミリリットル900円
    ・ワイン720ミリリットル1,600円
    ・コーラなど200円
    ・焼酎、ウイスキーもあり

    女性内風呂
     男女別の内風呂は、湯船も床も壁も天井も、すべてオンコの木を用いている。

    温泉分析書 平成22年10月26日

    ・申請者 株式会社カミホロ荘
    ・十勝岳温泉(源泉名 カミホロ荘温泉)
    ・上富良野町上川南部森林管理署421林班ほ小班
    ・28.0度(自然湧出)
    ・無色透明、酸味、無臭
    ・pH2.5
    ・蒸発残留物1.326g/kg
    ・成分総計1.356g/kg
    ・酸性-アルミニウム・カルシウム-硫酸塩温泉

     源泉温度が低いため、加温している。清掃時間は夜中1~3時。4時から入浴可能。

     日帰り入浴は受付7~20時、終了21時。600円。

    外観
     十勝岳連峰に佇む1軒宿。地上2階・地下1階建て、23室。

    玄関
     フロントで立ったままチェックイン手続きし、スタッフに荷物を持ってもらい、客室まで案内してもらう。

    客室前廊下
     靴は客室まで持っていく。




    客室

    客室8畳+縁側
     客室は8畳+縁側。ウォシュレットトイレ&洗面台付。

    客室
    茶菓子浴衣、タオル、バスタオル
    電気ポット裁縫セット
    冷蔵庫に冷水ポットウォシュレットトイレ、洗面台
    富良野盆地側客室からの眺め。天気悪し
     客室の眺望は、富良野盆地側と十勝岳側に大別される。予約時に指定し、今回は富良野盆地側をチョイス。運が良ければ「雲海」が望める。

    札幌→旭川→上富良野 2時間半

    1番ホーム
     札幌駅10時00分発のL特急スーパーカムイ11号は函館本線を北上し、80分で旭川駅に到着した。新築されたばかりの駅舎は「木のぬくもりがいいな」と思いつつ、11時30分に発車する富良野行き普通列車へ飛び乗る。

    上富良野駅
     富良野線を走り、上富良野駅12時25分で下車。十勝岳温泉まで走る町営バスの発車時刻まで50分余あるので、徒歩1~2分の至近距離に佇む「自家焙煎の店 コーヒー処 アラビゴ」で昼食&コーヒーブレイクを。



    ブタ丼(味噌汁・サラダ付)600円

    ブタ丼600円。甘いタレで味付けしており、家庭的な味わい
    後出しサラダは、切りたてで鮮度抜群
    食後コーヒー300円。カップに「ARABIGO」のプリントあり
     ママさん1人で切り盛りしており、ブタ丼が出てきた後、キャベツを千切りしてサラダを「後出し」してくれた。作り置きしていない姿勢が嬉しい。落としたコーヒーは通常400円だが、食事をした客は100円引きだった。

     いま知ったのだが、アラビゴというコーヒーショップは、旭川市忠和に本店があり、同市内の東4条店、買物公園店、そして上富良野店がチェーン店らしい。



    上富良野駅前→十勝岳温泉 40分

    上富良野駅バス停
    町営バス
     上富良野駅前13時19分発の町営バスは、いわゆるマイクロバスで「険しい雪道をスイスイ走れるよう4輪駆動」(事情通)という。私たち2人+大陸方面の観光客2人+地元客1人を乗せ、今宵の湯宿の最寄りバス停へ14時00分に着いた。乗車賃500円。

    室蘭民報2010年12月14日朝刊の広告
     誉れ高きアヨロ温泉(白老町)がリニューアルオープン。個人的には鄙びた建物の味わいが良かったと思っているので、公共温泉のようにピカピカに生まれ変わったことに対し、そんなに食指が動かない。何より宿泊機能がなくなってしまったのが寂しいけれど、生まれ変わってから一度も訪問していないのにアレコレ言うのもいかがかと。そのうち足を運びたいな。

     ちなみに写真の新聞広告は「オープン広告」と呼ばれるもので、あくまで建設に携わった会社がアヨロ温泉の竣工を祝うために広告料を支払うというスタンスだったりする。アヨロ温泉の広告は、日刊新聞のおよそ半分のスペースを占めており、値段は「総額50万円程度ではないか」(道内広告関係者)だそう。

     「遠いからあまり泊まっていない道東方面に、前から気になる湯宿がいくつかあったよね。鴟のねじろ(弟子屈町屈斜路湖畔)は、自家源泉の重曹泉を貸し切りで楽しめ、イタリアンな食事とワインを楽しむこじんまり湯宿だけれど、2年前から休業中なのが残念(ホームページは現存)。他に似たようなこじんまり湯宿と言えば、お宿かげやま(弟子屈町美留和・冬期休業)、ガストホフぱぴりお(弟子屈町屈斜路湖畔)などと聞いた。いずれもオーナーこだわりの小さな宿で、洋食ベースの食事が美味しそう」

    オーロラファームビレッジ
       あと、2009年夏に日帰り入浴したオーロラファームビレッジ(標茶町)も泊まってみたい。紅茶色のツルツルした浴感にうっとり。夕食は天井の高い炭火焼処、寝るのは各部屋が小屋っぽい佇まい・・・ どことなくキャンプ場なイメージだね。冬期間も営業しているし。

     「ことしみたいに連休が取れる時期に車でじっくり巡ってみたいね。あと、どんな湯宿に行きたい?」

       素泊まりや朝食のみで泊まることが出来る湯宿がいい。2食付で「お籠り」するのではなく、夕食は街に繰り出して外食で楽しみたい気もある。例えばホテルラビスタ函館に泊まって、夕食は函館の街中で食す。阿佐利ですき焼食べたいな。登別温泉の「ありがたい湯」を味わいつつ、温泉街で地元民オススメの居酒屋で肴をつつく。瀬戸瀬温泉(遠軽町)で初めての自炊or遠軽駅で買い求めた駅弁「かにめし」を頬張るも良し。ちなみに昼食は遠軽駅ホームで「あいがもそば」を。

     「そういうのもチャレンジしたいね。他にも行きたいところはあるけれど、基本は土日1泊2日なので、どうしても札幌近郊になるね。ホントは道東だって1泊2日で泊まりに行けるけど、移動時間がかかってどうしても疲れちゃう。何よりも忙(せわ)しない」

       土曜日は朝寝坊して、昼時に自宅を出る。路線バスにゆられ定山渓、JRで登別へ赴く。湯宿でごろごろまったり、翌朝チェックアウト。正午には札幌に到着し、撮ってきた写真を自宅でのんびり眺めつつ、楽しかった1泊旅行を振り返りながら、お腹一杯食べてきたので、夕食は質素に行きましょうとなる。泊まりたい湯宿は全国にあるけれど、道内を含め全国の湯宿をコンプリート(完全制覇)しようという試みは、費用と休みを考えればそもそも無理。だからいろんな湯宿を巡って足跡を残すのも楽しいが、近場でナイスな湯宿にリピートしつつ、湯宿を深く味わいたいと思っている。札幌に住む者として、地元の湯宿はいろいろ知りたいし、愛したいし。

    定山渓・ホテル山水 家族風呂
     「定山渓温泉では、山水白糸章月ふる川辺りに泊まりたい。定山渓って、大型ホテルで湯使いもイマイチというイメージが先行しがちだが、よくよく眼を凝らすとそうじゃない現実がある。これは登別温泉でも同じことで、はなや第一滝本館へ行きたいな」

       来年も、基本的に札幌近郊を味わいつつ、時には「内地」を含めて遠出したい、と。これ以上は「来年のことを言えば、鬼が笑う」ということで、この辺でお開きに。(おわり)

       2人で宿泊した13の湯宿のうち、7軒の感想を述べてきた。他に印象に残った湯宿は。

     「夏の終わりに訪問した、海の別邸ふる川だね。9月の正式オープン前に情報を知り、どうしても泊まりたくて定山渓の本店に電話したら、現地の電話番号を教えてくれた。それで電話したら、8月からプレオープンするので予約を受け付けていますって言うから、それで泊まりに行ったよね」

    海の別邸ふる川
       名前の通り太平洋を望むロケーションが最高。客室の窓辺にちょっとしたカウンターがあり、おしゃれな椅子に座りつつ、海を望める。窓を開けると波の音が聞こえ、あえて客室にテレビを置かず、「海を楽しんでほしい」の宿コンセプトが斬新だ。ロビー前にウッドデッキがあり、足湯やハンモックも。露天風呂のロケーションを含め、ナイスな眺望を最大限に引き出した湯宿デザインに拍手を送りたい。また行きたいが、寒さ厳しい冬場は、客室の窓を開けて波音を聞くのもはばかられるし、ロビー前のウッドデッキは寒すぎてくつろげないのではないか。

     「外は寒いけど館内のロビーをはじめ、他にもくつろげるスペースがあったよ。客室にテレビはないけれど、風呂場の休憩室や喫煙所にテレビがあったし。何よりも食事が良いじゃない。白老牛を焼いて食したけど、舌先でとろける食感に悶絶しそう。白老町において初めての『ちゃんとしたホテル』なんじゃない。休前日に2人で泊まって、1人最低20,000円は値段だけ見れば安くないけど、リゾート気分で快適に海を身近に感じたいならば、一度はチャレンジしてみる価値ありの湯宿でしょう」

       このほかにも、天人閣、五色温泉旅館、アダージョ本館、別館おかえりなさい、旅館四季にも泊まったよね。

     「天人閣が佇む天人峡温泉は、ことしの夏に豪雨で大変なことになったね。もう復旧しているようで一安心。旭川駅往復送迎&イタリアンランチ付3食8,000円のお値打ち価格で、ランチはとても満足したけど夕食&朝食バイキングはいささかアレかな。五色温泉旅館は、浴室全体が木のぬくもり一杯だった『からまつの湯』の印象が強かったので、湯舟と床がタイル張りにリニューアルされていた現況に肩を落とした。木だと維持管理が大変だと思うけどね。アダージョ本館は客に注意を促す張り紙が多過ぎるし、大量の石油タンクが本館玄関に置きっぱなしだったり、割れたガラス戸を庭に放置しているなど生活臭を感じた。ペンション=洋風民宿の意味だから、民宿だと思えば理解できるかな。別館おかえりなさいは聖観湯時代に思い入れのある湯宿だけに、経営者が代わって復活してくれて良かった。送迎してくれた宿を切り盛りする男性が、一生懸命だった。「とっても良い宿ですよ」って、もっともっと伝えたかったね。旅館四季は2回目の投宿だけど、ハードは民宿風情なため、休前日10,650円は微妙に感じた。9,000円台だったら納得したかも知れない」

    五色温泉旅館
       別館おかえりなさいを除き、不満な点が強調されたけど、もちろん良い面だってたくさんあるし、「泊まって失敗した」なんて声高に叫びたい湯宿は皆無だ。天人閣、五色温泉旅館、アダージョ本館、旅館四季は何と言っても湯が良く、ロケーションに長けている。メシが口に合わなくてもハードがイマイチだろうと、なんとなく宿の雰囲気が肌に合わなくても、お湯が良ければノープログレムな考え方もある。湯宿に何を求めるかで、宿泊した感想は大きく変わってくるのだなあと、改めて思う。

     「湯宿を選ぶ基準って、なんだかんだ言っても湯の良しあしを優先しているケースが多い。ことし2人で泊まったところは、どこもお風呂に満足した。だから、それで良いんじゃない、1泊2日で温泉に浸かってゆっくりできれば」
     
       湯宿にあれもこれもと求めるのは野暮と頭では分かっているが、温泉だけじゃなくてくつろげる風情や頬っぺたが落ちそうな食事だってやっぱり味わいたい。そんな湯宿に出会うべく、来年はどこへ泊まりに行こうか。

       いわゆる高級宿を検証したい。2年余の休業を経てリニューアルした登別温泉の滝乃家は露天風呂付の客室をチョイスし、朝夕部屋食で42,000円。どう評する?

    滝乃家 客室露天の湯花
     「スゴク良かったよ、特にお部屋の露天風呂がね。大湯沼から引く単純硫黄泉に満たされ、泥状の湯花がたっぷり沈殿していて、泥パックして遊べたし。和食な夕食はこれという目玉は思い出せないけれど、どれも手が込んでいて美味しかった。お値段が高いから、簡単にリピートできないけれど」

       リビング、寝室、和室、ダイニング、バルコニー、露天風呂で構成された客室は、さりげない設計で「こんな自宅だったらな」の印象を受け、自然体でくつろげる。言い換えれば、ゴージャスな「THE高級宿」をイメージしていくと、ちょいと肩すかしをくらうかも。客室ダイニングに食事を運んでくる専属の仲居さんは、客室ドアからではなく、ダイニング専用のドアから出入りする。夕食時間には早すぎる夕暮れ前、ガウン1枚でリビングにいたら、ダイニングでがさごそ音がしたのでびっくりしたが、仲居さんがグラスを下げにきたみたい。私の気配を感じたのか、「あっ」とささやき声が聞こえたような気がするが、何も言わず帰って行っちゃた。夕食と朝食のセッティング以外は出入りしないって説明を受けていただけに、「ふいの訪問」はプライバシーを害された感じ。もしも、私が客室露天風呂上がりで裸体をさらしていたら・・・ それになんと言っても、リビングのテーブルが少々汚れていたし、客室の風呂の排水溝に前の客の髪の毛がからまっていたり。あと、男女風呂の脱衣所に大量に置いてあるタオルは、かなりくだびれていて、貧乏臭かった。これで1人4万円なにがしの請求はがっかりだな。

     「仲居さんがダイニングに出入りするタイミングって、予測は出来ても正確には分からないよね。ノックもブザーもなく、音を立てずにスーッと入ってきて、ダイニングからリビングの私たちに向かって「これからお支度します」と声をかけられる状況って、なんだか違和感ある。でも、その件については仲居さんがダイニングとリビングを仕切るドアが鍵付なので、気になるようだったら閉めておいてねって、レクチャーしてくれたよね。掃除の不手際は指摘したら仲居さんがちゃんとやってくれたじゃない。お詫びに夕食にシャンパン(グラスで)までサービスしてもらったでしょ。ニッポン男児ならば、もうごちゃごちゃ言わないの」

       そうだね、反省する。いま思えば、あの客室の楽しみ方は、お手伝いさん付きの別荘と思えば良いかも。お手伝いさんが別荘内をうろちょろするのは当たり前のことだし、もちろん滝乃家の仲居さんは、基本はダイニングにしか出入りしない。世話を焼いてくれる仲居さんと距離を縮めつつ会話を楽しめるくらい、オトナな度量が求められるのだな。だから残念だった思い出を除けば、それなりに良い湯宿だと思うから、もう1度泊まりに行ってみて、宿の真贋を再確認してみたい気持ちはある。ただし、これだけは言わせてほしいが、滝乃家は「老舗」って評されているが、接客や清掃についてはいったん宿の歴史をリセットして、一から出直している感じがした。リニューアルに伴い休業していた「失われた2年間」で、ベテランスタッフが離れたと聞くし。帰り際にあいさつしてくれた女将さんはオーラを発していたけど。

     「私たちを担当してくれた仲居さんは新人だったね。でも、京都で研修したそうよ。職場の観風会(慰安旅行)を兼ねているかも知れないけど、宿もスタッフも『滝乃家復活』へ一生懸命なのだと思う。いずれにしても、高級宿にはパーフェクトを求めがちで、ちょっとした粗相にも敏感に反応するよね。これが1万円以下の湯宿だったら、笑って過ごせるのに」

       話題を変えよう。翠山亭倶楽部定山渓は32,550円で、夕食は和食or鉄板焼きをチョイスできた。

    翠山亭倶楽部定山渓の肉(ロース)
     「客室に温泉内風呂があったし、夕食の鉄板焼きによるステーキ料理は格別。客室冷蔵庫やバーでの飲み物が無料だったのも、ゴージャス気分を味わえた。でもね、最後にこんなことがあった。どしゃぶりな雨の中、帰りにバス停まで光岡自動車というメーカーの車で送迎してもらったが、傘を持たない私たちがドアを開けて出ると雨に濡れちゃう。気の利いた運転手さんだったら、傘を持ってドアを開けてくれ、濡れないようにサポートしてくれるだろうに、それが無かったのが残念。雨の中、小走りでバスまで走り、ゴージャス気分も吹き飛んだ」

       あったね、そんな出来事。まあ、路線バスで帰る時点でゴージャス気分は吹き飛んだと思うが。それにバスに乗り込んで振り返ったら、運転手さんが雨に打たれながらいつまでも見送ってくれた。あれは感動したな。

     「やっぱり高級宿だと『これだけお金払ってます』な上から目線になって宿への要求も高まり、些細なことでも指摘したくなっちゃうね。精神衛生上よろしくないから、1万円以下のお値打ち宿に泊まった方が楽しいかも。それって極論かしら」

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