札幌から行く 『温泉宿』

    温泉宿 「宿泊」 好きな札幌人。風呂、食事、部屋、もてなし・・・ 「湯宿をめぐる冒険記」 & 「雑多な温泉話」

    かにツメ弁当1,000円
     茹でた「かにのツメ」が8本入っており、ビールの肴にぴったり。〆にごはんを食べて、ごちそうさま。1,000円。

    包装
     駅売りしていない。ふじ田食堂で作ってもらった。

     お腹も満たされた。16時51分に稚内駅を発車した特急スーパー宗谷4号という名の「ゆりかご」に包まれ、札幌まで眠りに落ちるのだった。

    ずんどまり
     2011年(平成23年)4月、稚内駅は新しく生まれ変わった。「最北端の線路」と銘打った名物看板は、駅舎内から窓ガラス越しに眺められる。 

    日刊宗谷8月9日(火曜) 駅そば「そば処宗谷」がやっぱり閉店していた。旅人以上に地元客に愛されていた名店と聞いていたのだが。

     そんな中、「駅そばがなくなったままではモッタイナイ」という地元有志の手により、稚内みなと南極まつり(8月6~7日開催)で2日限定ながら、往年の駅そばがふるまわれたそう。
     作ったのは、1989年(平成元年)創業から閉店までの22年間、駅そばを作り続けた女性スタッフだから、ホンモノの味だ。

     「駅そば 束の間の復活」の見出しが、地元紙「日刊宗谷」で力強く踊っていた。また、何かのイベントで復活してくれれば、足を運びたいな。
     

    仮設のふじ田食堂
     駅に併設していたふじ田食堂は、プレハブ小屋にて、絶賛営業中。聞けば、2012年(平成24年)春に完成する稚内駅前再開発ビルにテナント入居するそう。

     古くて味わいがあるものがいいな、って無責任に思ってしまうのだが、老朽化に伴い、いろいろ不都合も生じるのだろう。なにはともあれ、いい感じにリニューアルしてね、と、これまた何の責任も無く祈るばかりだ。

    飾らぬ風情

     玄関ロビーを、かわいらしい赤ん坊が「ハイハイ」している。聞けば、宿を継いだ3代目夫婦が授かったばかり。ひ孫の誕生に、隠居した先代の名物女将は目を細める。

     1927年(昭和2年)開業。家族経営の飾らない雰囲気に、思わず「ただいま」とあいさつしてしまいそう。

    看板
    鄙びた廊下
     木造2階建てで、年季が入りまくっているものの、シンプルな和室は掃除が行き届いている。出入り口脇に置いてあるストーブの形から、おそらく燃料は豊富温泉で採れる天然ガスを使用すると感じ、おおっ、と歓心した。



    鄙びた浴室

    風呂
     湯船のふち、タイル床が茶色く染まっている。まぎれもない、温泉成分によるものだ。ナトリウム-塩化物泉の湯は、近くに佇むふれあいセンターの一般浴室と比べ、油分&灯油臭がちょっぴり控えめなものの、しょっぱさは変わらない。

     緑っぽい色合いの湯に身を沈め、年月を重ねた浴室を眺めていると、いい感じに鄙びているなあ、と嬉しくなってくる。



    洗練された料理

    山ウドとエゾカンゾウの酢味噌和え
    たけのこ
    刺身
    伝統の寄せ鍋
    天ぷら(後出し)
    自分で盛り付ける白米&味噌汁
    名物「温泉プリン」
     2食7,500円だから、本来ならば食事に期待しちゃいけない。しかし、食事処のテーブルに並べられた夕食をみて「これは当たりだな」とニンマリする。

     ぱっと見は特別変わった食事内容ではないのだが、1品1品ていねいな造りのメニューが、統一感のある器に盛られており、そこはかとない上品さが漂ってくる。包丁を握る3代目の若旦那は、洗練された腕前だ。

     ただし、観光気分で泊まれば7,500円の夕食は、品数がちょっぴり物足りない。そういう方々のために、1,000円刻みで宿泊料アップ=夕食グレードアップのプランがある。予約時に宿へ相談してみよう。ちなみに6,000円台で湯治プランも。「夕食内容は日々変わります。カレーとか」だそう。

     朝食を含め、ごはんとみそ汁は、食事処の隅っこに置いてある電子ジャー&鍋から自分でよそって食べるから、民宿や商人宿のようなシステム。それなのに食事に品があるというギャップが面白い。



    変わらぬ良さ

    宿名入りティッシュ
     80年以上の歴史を重ねた湯宿は、昔ながらの素朴さの一方、地元牛乳を活用した「温泉プリン」を商品化し、ネット販売を通じて全国から注目を集めるなど、3代目の新しいカラーも少しずつ打ち出している。

     平成の世にあって、昭和の風情漂う建物や浴室は、新鮮に映る。言い方を変えれば少々古臭く、トイレも男女共同だから、「トイレ行きたい」と足を運んだタイミングで女性客が入る姿を見かけたときは、踵を返して客室へ戻った。しかしながら、誉れ高き豊富温泉の湯を味わえ、食事も美味しいから、思いかけず満足度が高い。

     ハイハイしていた跡取り候補と言える赤ん坊の成長ぶりも含め、どんなふうに発展していくか、再訪が楽しみだ。釈迦に説法ながら、鄙びた風情はそのままだったら嬉しい。「変わらぬ良さ」というものも、今や川島旅館の大きな魅力なのだから。

    朝食
    ・白米
    ・味噌汁(ニラと揚げ)
    ・焼きシャケ
    ・ちくわきゅうり
    ・生卵
    ・納豆
    ・味付のり
    ・梅干
    ・漬物

    セルフサービス
     白米、味噌汁、牛乳、冷水、落としたコーヒー(ポットに入っている)はセルフサービスで。

    朝食会場
     夕食も朝食も1階食堂で。指定された8時00分から。

    夕食全景
     宿指定の18時30分から、1階食堂で。後出しメニューあり。

    ・中瓶ビール 630円
    ・日本酒200ml(燗・冷) 525円
    ・冷酒300ml 840円
    ・焼酎(ミニゴードー)200ml 375円
    ・ソフトドリンク各種210円

    男性風呂
    温泉分析書 平成21年3月15日
    ・豊富温泉(R4号井、R1A号井混合)
    ・31.5度
    ・微黄色白濁、カン味、石油臭
    ・Ph7.9
    ・蒸発残留物10.98g/kg
    ・成分総計12.07g/kg
    ・ナトリウム-塩化物泉

     湯使いについて、脱衣所内に下記の掲示あり(抜粋要約)。
     加温(泉温が低いため)、循環装置使用(湯船が深く浴槽内の湯温を一定に保つため)。
     湯は湯船から溢れさせている。

     宿泊客は夜通し入浴OK。

     日帰り入浴8~22時、400円。

    外観
     和室11室。

    玄関
     玄関の横に帳場があり、大旦那さんの誘導で2階客室へ。

    2階客室前の廊下
    客室出入り口


     日帰り専門の「ふれあいセンター」内に、食堂がある。
     食堂の営業時間10~14時、17~19時(土日祝日は10~19時まで通し営業)

    外観
    ふれあいのれん


    山菜らーめん(醤油)600円

    山菜らーめん600円
     地元豊富産の新鮮な山菜(ふき、わらび、たけのこ)を使用。とんこつベースのあっさりスープ(塩or醤油)で食す。

    主なメニュー
    【麺類】
    ・ラーメン(塩、醤油)600円
    ・山菜ラーメン(塩、醤油)600円
    ・味噌ラーメン650円
    ・五目ラーメン700円
    ・冷しラーメン750円(おそらく季節限定)
    ・かけそば・うどん400円
    ・山菜そば・うどん450円
    ・天ぷらそば・うどん450円
    ・月見そば・うどん450円
    ・ざるそば450円
    【定食・ごはん】
    ・特製味付ジンギスカン780円
    ・カレーライス600円
    ・ホタテカレー750円
    ・カツカレー800円
    ・豚丼750円
    ・ライスorおにぎり180円
    ・枝豆orフライドポテト250円
    ・月~金は、日替わりランチ550円があるらしい
    【飲み物】
    ・生ビール400円
    ・ホットコーヒー250円





    日帰り入浴

    男性脱衣所のれん
    2009年9月撮影
    1階休憩室
     詳細はこちら

     札幌駅を7時48分に旅立った特急スーパー宗谷1号は、350キロメートルを4時間20分かけて豊富駅に滑り込む。時刻は12時07分。思えば遠くへ来たもんだ♪
     この距離(営業キロ)って、東京駅から仙台駅までと同じ。東北新幹線だったら2時間前後で着くそう。

    稚内駅へ向かうスーパー宗谷1号(豊富駅)
    豊富駅


     遠軽駅の名物駅弁「かにめし」を買おうと、駅キオスクの女性スタッフに尋ねると売っていなかった。特急オホーツク号の到着に合わせ、予約制で販売しているらしい。

     「直接、作っている工場まで行けば売ってくれますよ」。駅から徒歩2分という。

    営業している?
     「おかむら」という屋号。ガラス戸の玄関に「駅弁売ってます!」などというチラシは一切なく、正直言って営業しているかどうか不安な佇まい。

    倉庫?
    かにめし3
     玄関を開けると、倉庫っぽい風情。奥のブザーを押すと、スタッフがやってきて対応してくれた。


    かにめし900円

    900円
     北海道産米の上に、かに煮付、いり卵、紅しょうが、のりが踊る。しば漬け、数の子わさび漬がアクセント。

    パッケージ
     岡村べんとう屋。

     遠軽名物の駅弁と駅そばを食し、温泉宿での自炊を思いっ切り楽しんだ1泊2日旅だった。

    瞰望岩(がんぼういわ) セトセ温泉ホテルから町営バス9時10分過ぎに乗車し、10時前までに市街地へ戻ってきた。

     13時近くに発車する札幌行き高速バスまで3時間余持て余したため、市街地をぶらり散策する。

     遠軽駅の北側に位置する瞰望岩(がんぼういわ)は標高78メートル。遠軽町のシンボルだ。公園に機関車「D51」が展示されていた。
    図書館
     国道242号沿い、市街地に立地している遠軽町図書館へ寄った。地元紙「遠軽新聞」を、一度拝見してみたかったから。



    遠軽新聞

    遠軽新聞
     祭りや展示会など「わが町のイベント」を紹介する記事が目立つ。地元の主催者や参加者を取り上げるから、読者は「あっ、〇〇さん載ってる」と楽しめそう。役場や警察からのお知らせ情報もあり、地域密着型の正統派ミニコミ紙の印象だ。全国ネタについては、読売新聞から記事配信を受けている。4コマ漫画は「ライフくん」(みやまひろお作)。

    自社広告
     1946年(昭和21年)発刊で、ことし65周年。紙面はタブロイド判くらいの大きさ、ページ数8ページほど。日刊紙で購読料は月1,400円(1部売り60円)。

     人口22,000人の遠軽町ゆえに、発行部数も限られるだろう。新聞発行に加え、一般印刷も行っているから、商売として成り立っているのかも知れない。



     地元紙は遠軽新聞だけじゃなかった。

    山脈(やまなみ)

    山脈
     遠軽町丸瀬布(旧・丸瀬布町)の山脈文化協会が月3回発行(第2、3、4日曜)、月650円。
     剣道スポーツ少年団が全国大会出場を決めた、とか、〇〇さんが叙勲を授かりました、など、やっぱり地域の細やかな情報を報道。ちゃんと広告も入っているから恐れ入る。

     以前、稚内でも感じたのだが、複数のメディアが頑張っている地域って「文化的な風土」が高いような気がするのは私だけだろうか。


    追記

     グーグルで「山脈 丸瀬布」「山脈文化協会」と検索してみたら、遠軽町ホームページ&ある個人ブログがヒット。それによると「山脈」は1948年(昭和23年)、丸瀬布町の地元青年団の会報誌として産声をあげ、町の広報誌を補完する形で頑張ってきたよう。いわゆる営利企業ではなく、地元有志による非営利の編集体制っぽい。

    まっさらの湯

    外観
     時間が止まったままの佇まいに、どこか懐かしさと哀愁を感じる。いい意味でほったらかしてくれる湯守(ゆもり、ゆまもり)だから、煩雑な日常に疲れた旅人にとって、好都合かしら。

    湯口
     平日の金曜に泊まったが、夕方まで日帰り客がひっきりなし、翌朝8時から再び客でにぎわった。上下左右、きれいなタイル張りという風情もこれまた良し。掃除が行き届き、清潔なイメージがする。

     まっさらのアルカリ性単純温泉は、分かりやすい特徴はないものの、新鮮さが伝わってくる。真夜中に貸し切ると、贅沢な気分を味わえよう。



    楽しい自炊

    自炊
     素泊まり専門の湯宿ゆえに、食事は自前で用意する。山奥の1軒宿なので、ぶらり外食というわけにもいかない。電子レンジがあるから、レトルト食品で簡単に済ませるも良し、弁当を買ってくるのもOKなのだが、せっかく自炊できるのだから、ちょっぴり頑張って夕食を作るって、面白いな。

     ただし、調味料をすべて持ち込みしなければいけない点がメンドウ。砂糖、塩、酢、醤油、味噌、サラダ油・・・たかが1泊でそれってダルイ感じ。
     あまり調味料を使わないメニューにするとともに、前の客が置いていった調味料(醤油が多い)があったため、1人で1泊しつつ簡単な調理で済ませる程度ならば、それを当てにしても良いかもしれない。本格的に作りたいならば、自力でしっかり用意しよう。

     そうそう、炊事場は一つしかないので、あんまり本格的すぎて長時間キッチンを占領する行為も慎みたい。

    食材

     コープさっぽろ プラザ店(遠軽町)で買ってきた食材は次の通り。

    材料
    ・サチク赤豚しゃぶしゃぶ用ロース391円(知床産)
    ・ミニとまと138円(北海道産)
    ・水菜108円(北海道産)
    ・もめん豆腐88円(網走市久保食品)
    ・生めばちまぐろ刺身用397円(インド洋)
    ・コロッケ29円

    ・マーボー豆腐の素 マボちゃん中辛108円(理研)
    ・北海道おろし焼肉のたれ198円(ベル食品)

    ・寿司コーナーから、醤油とガリを無料でいただいた。

    湯船から湯があふれる
    温泉分析書 平成16年7月16日
    ・申請者 株式会社瀬戸瀬温泉
    ・源泉名 瀬戸瀬温泉
    ・湧出地 遠軽町字湯の里(国有林遠軽事業区10林班ネ小班)
    ・泉温 42.8度(浴場) 自噴
    ・知覚的試験 無色 澄明 無味 無臭
    ・pH9.3
    ・蒸発残留物0.130g/kg
    ・成分総計0.154g/kg
    ・泉質 アルカリ性単純温泉

    日帰り
     日帰り入浴8~20時00分、500円。

     20時00分から1時間ほど清掃タイムを経て、宿泊客は夜通し入浴OK。

    外観
     素泊まり・自炊専門の湯宿。全7室。

    玄関
    玄関前ロビー
     フロントで立ったままチェックイン手続き。客室の鍵を受け取り、自力で2階客室へ。

    客室前廊下


    ゆうあい通り
     ところで、遠軽町は2005年(平成17年)に生田原町、丸瀬布町、白滝村と合併しており、人口22,000人はそこそこの規模。かつては名寄本線(廃線)と石北本線が交わる要所として栄え、陸上自衛隊遠軽駐屯地が現存する。市街地に「ゆうあい通り」という飲み屋街があったりするのは、こうした理由なのだろう。

    コープ
     今宵の湯宿で「自炊」するため、遠軽の市街地にスーパーはないかしら。生鮮品が充実しているセイコーマートでもいいのだけれども。ふらふら歩いていたら、遠軽ターミナルの近くに「コープさっぽろ プラザ店」を発見。あれやこれやと買い求め、食材&調味料1,540円、アルコール411円分をゲットする。

    町営バス
     食材が詰まった白いビニール袋を手に持ちつつ、遠軽ターミナル15時過ぎ発の町営バスに乗り込んだ。

    バス停
     乗車時間40分くらいで、終点のセトセ温泉に着く。330円。これから風呂に入って、夕食を作って・・・いつになく忙しいかも。

    遠軽駅
     遠軽ターミナルから徒歩2~3分で、遠軽駅に着いた。

    駅そば
     駅舎の横に駅そば店「北一そば店」を発見。ホームに入らずとも、駅そばを味わえる。

     真夏の金曜日、オホーツク管内遠軽町まで1人旅立つ。1泊2日で地元名物の「駅そば」と「駅弁」を味わいつつ、山あいの温泉宿で生まれて初めての「自炊」にチャレンジ。前から温めていた旅プランだけに、ワクワクする。

     遠軽までおよそ260キロメートル。公共交通ルートは、JRまたは高速バス(北海道中央バス)があり、いずれも旭川経由となる。

    【JR】特急オホーツク号 Rきっぷ8,400円(12~3月9,400円) 片道3時間34分
    【バス】高速えんがる号 往復割引乗車券7,330円 片道4時間36分

    高速えんがる
    往復7,330円
     高速バスの方が、乗車時間は1時間長いものの、1,000円安い。バス旅を選んだ。

     札幌ターミナル9時00分発の車内は、乗車率60%くらいだろうか。旭川駅前11時10分着で大半が降り、客は5~6人に。数分間の停車の間に、目の前にあるコンビニでドリンクを買う。
     「遠軽まで、まだ2時間以上かかるな」と思っていたら、サービスの一環としてDVD放映がスタート。映画「瞬 またたき」(2010年、北川景子主演)という作品で、札幌が舞台だった。「あっ、この景色はあそこだな」などと鑑賞していると、あっという間に時間は過ぎ去る。

     終点の遠軽ターミナル13時36分着。遅めの昼食として「駅そば」を食べようと、遠軽駅へ向かった。

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