札幌から行く 『温泉宿』

    温泉宿 「宿泊」 好きな札幌人。風呂、食事、部屋、もてなし・・・ 「湯宿をめぐる冒険記」 & 「雑多な温泉話」

    蔦温泉→新青森駅→青森駅

     11月の3連休を利用した温泉旅は終焉を迎える。レンタカーを返すため、蔦温泉から新青森駅までの移動距離は、およそ50キロ。ナビによると1時間20分で着く。冬期閉鎖している国道103号と、迂回ルートの県道40号のどちらを走っても、誤差は2~3キロに過ぎない。

    谷地温泉周辺で見たナビ
    これが八甲田山
     八甲田山と言えば、明治35年(1902年)に日本陸軍が雪中行軍を行った際、凄まじい吹雪に出くわし、199人が亡くなった遭難事件(生存者11人)が頭をかすめる。新田次郎の小説「八甲田山 死の彷徨」のイメージが強い。対向車の少ない山道を疾走しながら、「浮かばれない兵隊の方々と遭遇したら・・・」と想像をたくましくしてしまった。
     この事件から7年後に蔦温泉が開業している。

    岩木山を望む(岩木山展望台から)
     展望台から岩城山を拝んだり、アチコチ寄り道(迷ったり)しつつ、蔦温泉出発から2時間後の11時00分前に新青森駅に到着し、レンタカーを返却した。ガソリン代は3,256円なり。

     新青森駅から青森駅までタクシー移動。5.5キロ、2,000円弱。

    時空を超える温泉宿

     ワタシは、その湯宿の写真を三葉、見たことがある。

    渋い!
     一葉は、その湯宿の、幼少時代、とでも言うべきであろうか、開業から間もない100年前かと推定される頃の外観写真であるのだが、21世紀のいまこの瞬間、ホンモノを目の当たりにして、面影が残る佇まいに驚くばかり。大正時代へタイムスリップした感覚だ。

    玄関内

    朝食
    ・白米(おひつ)
    ・みそ汁
    ・漬物
    ・筋子
    ・とろろ芋
    ・フキ煮
    ・温泉たまご
    ・しゃけ焼、梅しそ巻き、フキ味噌
    ・焼き海苔

    朝食テーブル
     7時30分から、新館1階レストランで。コーヒーは有料。

     指定した18時から客室で。一気出し。

    部屋食
    夕食


    久安の湯 水
     浴場は3ヵ所ある。いずれも湯船の真下に源泉があり、いわゆる足元自噴。

     久安の湯→男女入れ替え。源泉名「旧湯」。男性9~20時 女性21~8時
     泉響の湯→男女別。源泉名「新湯」。夜通し入浴OK
     貸し切り→家族風呂1つ。久安の湯の隣。12~22時 3,150円(1時間)

    源泉名「旧湯」
    ・泉温44.6度
    ・pH6.95
    ・湧出量 測定不可(自然湧出)
    ・知覚的試験 無色透明 無味無臭
    ・蒸発残留物1.068g/kg
    ・溶存物質1.223g/kg
    ・成分総計1.264g/kg
    ・ナトリウム・カルシウム-硫酸塩・炭酸水素塩・塩化物泉
    ・温泉分析書 平成16年9月27日

    源泉名「新湯」
    ・泉温46.9度
    ・pH7.30
    ・湧出量 測定不可(自然湧出)
    ・知覚的試験 無色透明 無味無臭
    ・蒸発残留物1.193g/kg
    ・溶存物質1.409g/kg
    ・成分総計1.446g/kg
    ・ナトリウム-硫酸塩・炭酸水素塩・塩化物泉
    ・温泉分析書 平成16年9月27日

     日帰り入浴500円。9時00分~16時00分で終了。

    渋い本館
     明治42年創業の1軒宿。日本秘湯を守る会加盟宿だ。

    玄関
     チェックイン手続きは客室にて。

    本館2階




    本館2階・客室

    本館2階客室前の廊下


     日帰り入浴した古遠部温泉(平川市)を10時30分に出発。取り急ぎ酸ケ湯温泉(青森市)を目指す。

    ・古遠部温泉→東北自動車道・碇ヶ関IC(6キロ)
    ・碇ヶ関IC→黒石IC(27キロ)
    ・黒石IC→国道102号→国道394号→国道103号→酸ケ湯温泉(26キロ)

     距離だけ見ればおよそ60キロの道程。ただし、国道394号に入ってからの20キロは山道になる。2012年(平成24年)11月下旬は、既に雪道だった。そもそも、酸ケ湯温泉って標高890メートル。日本有数の豪雪地帯にあるのだ。

     黒石ICを降りた先に広がる黒石市は「黒石つゆやきそば」という純粋なご当地グルメに加え、「落合温泉」「板留温泉」「温湯温泉」「青荷温泉」が点在するものの、アレもコレもと欲張れば「二兎追うものは一兎をも得ず」になっちゃうのは、これまでのジンセイで痛いほど経験しているので、華麗にスルーした。

    看板
    酸ケ湯
     道に迷ったりトイレ休憩しつつ、12時00分過ぎに到着。1時間半かかった。

    券売機
     日帰り入浴は7時00分~17時30分まで。ひば千人風呂(混浴)600円。
     玉の湯(男女別)も入りたいならば、共通入場券1,000円がお得。

    玄関回り
    男女脱衣所前
    源泉名「酸ヶ湯温泉(熱湯)」
    ・酸性・含二酸化炭素・鉄・硫黄-アルミニウム-硫酸塩・塩化物泉(硫化水素型)
    ・泉温48.1度
    ・pH1.76
    ・溶存物質3.703g/kg
    ・成分総計5.417g/kg
    ・温泉の分析年月日 平成14年10月7日


    源泉名「酸ヶ湯温泉(四分六分の湯)」
    ・酸性・含鉄・硫黄(硫化水素型)-アルミニウム・カルシウム-硫酸塩・塩化物泉
    ・泉温49.6度
    ・pH2.02
    ・溶存物質2.385g/kg
    ・成分総計2.632g/kg
    ・温泉の分析年月日 平成17年10月7日


    源泉名「酸ヶ湯温泉(鹿の湯、冷の湯(大)(小)混合泉)」
    ・酸性・含硫黄(硫化水素型)-アルミニウム・カルシウム-硫酸塩・塩化物泉
    ・泉温42.2度
    ・pH2.03
    ・溶存物質2.532g/kg
    ・成分総計2.791g/kg
    ・温泉の分析年月日 平成17年10月7日

     有名な「ひば千人風呂」はちょっとした体育館の広さ。湯気だらけに目が慣れてくると、全面木造の造りに圧巻される。湯は熱からずぬるからず。白濁した湯はさらりと肌になじみ、口に含むと酸っぱくて苦味としょっぱさが舌を刺す。
     日帰り客で賑わい、混浴スペースに「ワニ男」っぽい若いあんちゃんグループがたむろしている。連休だから客層が荒れるのだろうか。むろん女性は混浴の方には来ていないもようで、衝立の奥の女性スペースで湯浴みを楽しんでいるようだ。あと湯浴み着が販売されているらしい。

     一方、もう一つの浴室「玉の湯」は男女に分かれており、近代的な造り。家族風呂をもう少し大きくした広さで、湯船は1つのみ。シャワー完備でシャンプーなども置いてあった。

    ざばざば
    案内板
    析出物
    温泉分析書 平成20年1月18日
    ・源泉名「古遠部温泉2号源泉」
    ・源泉所在地 青森県平川市碇ヶ関西碇ヶ関山1-467
    ・無色透明 渋味微炭酸味無臭
    ・泉温43.6度
    ・pH6.28
    ・毎分478リットル(自噴)
    ・蒸発残留物4.209g/kg
    ・溶存物質5.063g/kg
    ・成分総計5.446g/kg
    ・ナトリウム・カルシウム-塩化物・炭酸水素塩・硫酸塩泉

     日帰り入浴300円。8時30分~20時00分で終了。

    赤い屋根の1軒宿

     秋田杉に囲まれた1軒宿は、赤い屋根の木造建築で、どこかなつかしい。

    国道7号(羽州街道)から脇道に入る
    1キロちょっとで宿へ到着(日景橋から望む)
    ロビー
     旅館部、湯治部と棟がいくつか連なり、昔のままの風情を保つ一方、ロビーは改築してちょっぴりおしゃれ。旅館部の客室も小ぎれいで、掃除も行き届いている。

    朝食
    ・白米
    ・みそ汁
    ・漬物
    ・温泉卵
    ・長芋
    ・シャケ焼
    ・焼きのり
    ・湯豆腐

    食事処前
     夕食と同じ1階食堂で。7時30分スタート。

    夕食
     18時からフロント近くの食堂で。1品だけ後出しあり。ビール(中瓶)600円。

    食堂


    男性内湯の湯口
    温泉分析書 平成22年3月12日
    ・申請者 日景温泉株式会社
    ・源泉名 日景の湯
    ・湧出地 秋田県大館市長走字下内沢108番地
    ・泉温41.3度 動力揚湯
    ・知覚的試験 微白色微混濁で塩味があり硫化水素臭がある
    ・pH6.5
    ・蒸発残留物8.714g/kg
    ・成分総計8.820g/kg
    ・含硫黄-ナトリウム-塩化物泉(硫化水素型) 旧泉質名 食塩硫化水素泉

     加温(熱交換式)している。夜通し入浴OK。

     日帰り入浴は8時00分~20時00分で終了。400円。

     1893年(明治26年)創業。日景(ひかげ)家が代々湯を守り、現在5代目と聞く。

    日景温泉
     全部で35室くらい。日本秘湯を守る会会員宿。



    玄関&フロント

    玄関
    フロント
     フロントでチェックイン手続き。スタッフに客室まで誘導してもらう。



    ロビー&売店

    おしゃれ
    売店 たばこ
    売店は寂しい感じ




    2階客室

    客室前廊下


     五所川原市金木町で「太宰治」「津軽三味線」「駅舎でランチ」を味わった後、今宵の湯宿を目指す。

    ・津軽自動車道(五所川原東IC)→東北自動車道(浪岡IC) 8キロ・無料
    ・東北自動車道(浪岡IC)→同(碇ヶ関IC)37キロ・1,100円

     青森と秋田の県境「碇ヶ関」に着く。五所川原市金木町から高速道路に乗るまでちょっと迷ったが、乗ってしまえば小1時間だった。

    朽ち果てた看板
     で、この辺は青森と秋田の双方に渋そうな湯処が点在している。中でも青森側の湯の沢温泉(青森県平川市碇ヶ関)は、5年前まで3軒の湯宿があり、湯治客で賑わったと聞く。

     津軽鉄道線は、津軽鉄道が運営している走行距離21キロメートルの鉄路。冬場の企画「ストーブ列車」がたびたびメディアに取り上げられている。

    春は桜が咲き乱れる芦野公園駅
    駅舎
     桜の名所である芦野公園駅の隣に、昔の駅を活用した喫茶店が佇む。2007年(平成19年)からNPO法人かなぎ元気倶楽部が運営中だ。

     太宰治(だざい・おさむ)という小説家の名前は、ニッポンで生まれ育っていたら、一度は見聞きしたことがあると思う。教科書に作品が載っており、授業が終わった後に友達と「オマエは人間失格~」「何言ってんだ、オマエこそ」などと無邪気に言い合ったりして。

     そんな著名作家の生家を訪ねた。



    太宰治記念館 「斜陽館」

    生家
    案内
    太宰治プロフィール (享年38歳)
    ・1909年(明治42年)6月19日生まれ、青森県金木村出身
    ・本名は「津島修治」
    ・金持ちの津島家において10人目の子ども
    ・津島家は農民への金貸し&土地収奪で成り上がった新興地主
    ・母が病弱ゆえに、子守の少女(タケ)や叔母に育てられた
    ・金木尋常小学校、青森中学、弘前高校を経て、東京帝国大学中退
    ・中学時代から執筆活動を行う
    ・東京上京後、井伏鱒二に師事しつつ、作品を生み出す
    ・1939年(昭和14年)、30歳で石原美知子と結婚
    ・1948年(昭和23年)6月13日、38歳の時、山崎富栄と玉川上水で入水自殺
    ・死体発見は誕生日の6月19日
    ・生涯を閉じるまで、自殺未遂は計4回
    ・正妻(石原美知子)との間に、1男2女
    ・愛人(太田静子)が子を授かり、太田治子(作家)が誕生

    ご案内
     生家は戦後、人手に渡り旅館として営業されていたが、金木町が買い取って記念館に。NPO法人かなぎ元気倶楽部が運営している。

    囲炉裏
    階段
     いろいろな作品を展示していた(展示スペースは撮影禁止)。

     青森駅から徒歩1~2分、「AUGA」(アウガ)というファッションビルっぽい建物があって、その地下ワンフロアに「新鮮市場」が広がる。

    新鮮市場へ
    新鮮市場
     早朝5時00分からオープンしており、鮮魚店、乾物屋、飲食店などがたくさん並ぶものの、6時台に空いている店は半分くらい。7時を過ぎると続々オープンし賑やかになってきた。



    すし処 三國

    寿司処 三国
    基本メニュー
     青森市って、津軽海峡を挟んで函館の対岸に位置する。だから函館と同様、海の幸が美味いらしい。

     新幹線が新青森から函館まで延伸される2015年(平成27年)をターニングポイントに、札幌と青森を毎日結ぶ夜行急行列車「はまなす」は、その役目を終えそうな予感がする。
     「夜汽車」がなくなるって寂しいから、いつか乗りたいとグズグズしていると、「じゃあ、いつ乗るか? いまでしょ!」と、東進ハイスクールのセンセイが諭してくれた。

    ヘッドマーク
    青森へ
     テレビ東京・いい旅夢気分チックに言えば、「晩秋のみちのく~急行はまなすで行く青森・秋田の秘湯宿」となるかしら。日本秘湯を守る会の加盟宿に2泊する。

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