札幌から行く 『温泉宿』

    温泉宿 「宿泊」 好きな札幌人。風呂、食事、部屋、もてなし・・・ 「湯宿をめぐる冒険記」 & 「雑多な温泉話」

    ◆雄大な眺め 圧倒的存在感な巨大風呂

     個人で「静か」に泊まるのであれば、客室数は少ない方が良いよ、上限20~30室くらいかな。どでかい湯宿は旅行会社を通じてツアー客を呼んでいるしね、団体客と一緒の宿泊だったら、うるさくて嫌でしょう。

     これまでずっと、そう信じて疑いませんでした。個人客にとって、小さい湯宿=善、大きい湯宿=悪って。

    巨大ホテル
     そんな考えの下、客室399室の第一滝本館については「家族連れがバイキングに舌鼓を打ったり、グループでわいわいはしゃぐ湯宿かな」。1度も泊まったことがない当方が勝手に思うイメージでした。

     初めて宿へ足を踏み入れたのは、2004年(平成16年)。自遊人の無料パスポートで2回日帰りを体験したほか、ことし1月、滝本イン宿泊で第一滝本館の風呂を味わった次第。

    良い眺め
     巨大な浴室に圧倒されつつ、男性風呂の大きなガラス越しに眺める地獄谷は、雄大ですね。「ああっ」と感嘆のうなり声を上げてしまいそう。

     男女合わせて1,500坪(5,000平方メートル)、湯船35種類、泉質(源泉)7つ、毎分2,921リットル(6源泉の合計、1源泉は未記載にて不明)という巨大風呂。日ごろ泊まっている「こじんまり湯宿」では決して味わえない「圧倒的な存在感」「開放感」、もしくは「怒涛の勢い」を感じる風呂に心奪われました。白濁した湯、硫黄の香りが温泉気分を高めてくれます。

     そんな巨大風呂を目当てに、初めて第一滝本館へ宿泊しました。
     和食会席ダイニングを謳う食事処「湯の里」が半年前にオープン。個人客への対応充実の姿勢を感じるとともに、食事内容も気になりましたし。


    ◆賑やかな館内 高まる「わくわく」気分

     この湯宿、とにもかくにも大きいんです。改めて感じました。

     客室数399室は、仮に1室定員4人としておよそ1,600人収容可能。北海道の市町村人口(住民基本台帳3月末現在)で言えば、

     ①初山別村(留萌)1,460人 ②占冠村(上川)1,308人 ③赤井川村(後志)1,256人 ④西興部村(網走)1,180人 ⑤神恵内村(後志)1,090人 ⑥音威子府村(上川)927人

     の人口を上回り、上記の村は村民全員で泊まることができますね。

     投宿したゴールデンウィーク明けの土曜日は、音威子府村とほぼ同数の900人が宿泊したそう。

     ちなみに、従業員数は300~400人(パート含む)と聞きました。

    バブル遺産な大金棒は、B級チック
     館内には、ラーメン屋やスナックが軒を連ね、幅広い廊下では手相鑑定する人もいれば、屋台で虎杖浜産たらこの販売も。品揃え豊富な土産処は宿オリジナル商品も目立ち、購買意欲をかき立てます。
     からくりモニュメント「大金棒」(おおかなぼう)は、20年前のバブル期に設置。30~60分おきの演奏時は、たくさんのお客が集まり、記念写真を撮っています。

     家族連れ、ツアー客、アジア圏在住グループが闊歩している、そんな賑やかな光景をぶらぶら歩きつつ眺めていたら、「イオン」館内でウィンドーショッピングしている時のような高揚感を覚えました。「わくわく」な気分が高まる、という意味で。

     「大きい、ことはいいことだ~♪」という、高度経済成長の勢いを表現した名作CM「森永エールチョコレート」(昭和42~43年放映)のキャッチコピーが頭をかすめ、第一滝本館に当てはまるような気がするのは私だけかしら。

    昭和20年代の風呂 (絵はがき)
     ちなみに、第一滝本館は、1939年(昭和14年)の時点で、250室、1,500人収容を誇り、大浴場は男女合わせて700坪(2,300平方メートル)、浴槽30種で「東洋一の規模」をアピール。
     小さな旅館が高度経済成長に後押しされ、巨大ホテルへ変身したわけではなく、少なくとも70年前から巨大な湯宿のよう。

     一方、「客を宿内に囲い、温泉街は廃れゆく」旨の指摘が頭をよぎりましたが、登別の温泉街は北海道の中では活気ある部類と感じていますね。



    ◆ノンビリ食せた食事処「湯の里」

    当方が利用した仕切りありカウンター仕切りなしカウンターは、中庭に面している
    奥に仕切りありカウンターテーブル席(一例)
     食事処「湯の里」での食事は、静かにノンビリ食せました。こんなにいい雰囲気で、食事内容も総論で言えば「また食べたい」と思っただけに、あえて個人的に「大したことではなく、宿へクレームするレベルでは到底ないけれど、ちょっぴり心残り」だった私感を記します。

     温物(つみれ汁)と焼物(ステーキ)がほぼ同時に出されたため、先にステーキを食べながら、「つみれ汁」が冷めたら嫌だなあ、とハラハラしてしまいました。もっとも、つみれ汁はフタ付き陶器に入っていたため、冷めずにいただけましたが。
     あと、ステーキのタレが甘かったのですが、次に出てきた煮物(鯛兜つや煮)も甘い味付けだったため、「味がかぶっているなあ」と私感。それならば、ステーキの味付けはシンプルに塩コショウ、ガーリックだけで良かったなあ。などと、瑣末な極私的感想で恐縮です。

     食事内容は春夏秋冬で変えるみたい。期待します。


    ◆モノサシは1つだけではない

    中庭は散歩できる
     「湯の里プラン」は、休前日宿泊で2人泊1人20,625円(夏シーズン2,000円増し)。巨大風呂に関心がなければ、高いと思うかも知れません。グループや平日に泊まれば、安くなりますので、それであれば値ごろ感があるかな。その辺は、個々人の価値観や考え方次第で、見解が分かれるでしょう。

     湯の里プランの場合、きれいな本館に宿泊できますし、「滝本のひのき玉」という商品が1人1品ずつプレゼントされた上、つれの誕生日祝いとして、写真たて&手書きメッセージカードが客室テーブルに置いてありました。

     当方は「静かに食すメシ」「巨大風呂を堪能」と、宿泊前に思い描いたイメージ通り、つつがなく泊まり湯を堪能しました。

     なんだ、第一滝本館は2人で泊まっても、ゆったり楽しめるではないですか。

     数多くの湯客を目の当たりにし、「家族連れがバイキングに舌鼓を打ったり、グループでわいわいはしゃぐ湯宿かな」の印象に変わりはありませんが、「しみじみ湯と食事を楽しみたい個人客」も、プラン次第で大いに満足できる、との体感を付け加えます。

     個人客にとって、小さい湯宿=善、大きい湯宿=悪という考え方、宿選びの際、分かりやすいモノサシだけれども、世の中には、もっとたくさんのモノサシがあるのだなあ。どれを使うかは、あなた次第。
    ◆2008年は、創業150年の節目

    玄関前に掲げている看板(夜撮影) 第一滝本館創始者の滝本金蔵氏が妻の皮膚病治療のため、いまの登別温泉で湯小屋を建てて湯治した時期が、北海道がまだ「蝦夷地」と呼ばれていた1858年(安政5年)。

     経営は滝本家(~1913年・大正2年)、栗林合名会社(~1927年・昭和2年)、そして南家に引き継がれました。
     2008年(平成20年)、第一滝本館の創業、そして登別温泉の開湯から150年の節目です。

     開湯150年記念式典&泉源公園開園式が7月20日(日曜)に行われるそう。

    読売新聞平成20年6月29日付広告
     昔の第一滝本館のモノクロ写真を拝見すると、木造造りで威風堂々な風情を感じます。いま、こんな造りだったら、全国の温泉ファンをとりこにするはず。

     しかし、時代とともに宿のハードは大きく変化を遂げました。

     次期社長候補であろう、常務取締役の南信行氏は、第一滝本館150周年記念会報誌「湯のもと」第三刊で、こう言い切っています。

     (温泉)情緒を感じさせるということで言うと、今の第一滝本館では皆無といっていいですね。(P5・カッコ内は当方記載)


     
    こんこんと湧き出る湯は変わらない
     (いっち) では、これから第一滝本館はどこへ向かうのですか。

     「風呂屋」というものに、これまで以上にこだわっていかなければ(中略)
     現状の第一滝本館のお風呂も、かなり高度なシステムで成り立っています。そういったものをそぎ落としていくことで、懐かしさや情緒的なものを自然と醸し出すことができると思うんです。(P8)


     
     (いっち) 地球環境に抗(あらが)わない、シンプルな風呂造りを目指すということですね。

     お客様は、時代は変わっても変わらない、本質的な感動を求めるんじゃないかと思うんです。1,000年後の人間が入っても気持ちよいお風呂を目指したい。それは結局、より自然に近いお風呂ではないかと考えています。(P9)




    ◆継承する滝本イズム さらなる飛翔を

    看板
     創始者の滝本金蔵氏が建てた湯小屋は、粗末だったかも知れません。しかし、こんこんと湧き出る湯を自然のまま使うとともに、妻の病を治すため、献身的にサポートした愛情が、第一滝本館の原点であり、「滝本イズム」と言えましょう。

     そんな滝本イズムを従業員みんなが継承しつつ、さらなる飛翔に期待している、札幌在住の一温泉ファンがここにいます。

    いっちさん コンバンワ
    「滝本」は札幌在住時も利用したこと無いので参考になりました。
    近間って難しいですよね。 旭川だと、層雲峡、天人峡、白金、湯駒、十勝岳とか観楓会ですものね。それで判断してしまうのがイケナイのでしょうが

    逆にいえば、団体で利用してもう一度家族で来たいなと思わせたら、宿として一歩抜けるのでしょうが、、、料金の兼ね合いもあり難しいのでしょうね。
    滝本、リストに載せました!

    山湖荘、ホロカ、景福 いいですね!
    いずれも利用した湯宿で、またマッタリしたいです。 連れに言わせれば、やる事無くて湯当たりしたとか言われそうですが。
     

    2008.06.17 01:28 URL | いわ #- [ 編集 ]

    いわさん、そうですね、大きい宿は「あそこは団体客ばっかり」と思って、個人では足を運ばなくなりがちですね。

    近年は大型宿も個人客に対応したリニューアルが進んでいますので、気になる宿は1度騙されたと思って宿泊するのも良いかも知れません。もっとも、騙されたらアレですが(笑) 滝本の湯の里プランはOKです!

    鄙びた湯宿は、湯しかないところが最高ですね。宿へ誘うお連れ様の説得、いつも大変とご推察します~

    2008.06.17 18:21 URL | いっち #- [ 編集 ]












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    第一滝本館
    北海道を代表する温泉の名誉をになっております。「登別」はアイヌ語の「ヌプルペツ(=色の濃い川)」が語源となっており、江戸時代より湯治に使われたとの記録が残るほど、古くから名湯として知られています。周辺の観光地も多く、季節を問わず、多くの旅行者が訪れる人気?...

    2008.06.17 18:07 | 温泉生活

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