札幌から行く 『温泉宿』

    温泉宿 「宿泊」 好きな札幌人。風呂、食事、部屋、もてなし・・・ 「湯宿をめぐる冒険記」 & 「雑多な温泉話」

    ◆開湯200年 温泉井戸は100本超

     渡島管内森町の山あい、直径2.5キロメートルのカルデラ盆地に、濁川(にごりかわ)温泉はある。一説によれば、江戸時代・文化2年(1805年)の開湯と聞く。
     平成19年(2007年)現在、温泉井戸は102本あり、浴用として46ヵ所(旅館6、日帰り1、一般家庭など39)が利用しているほか、農業用に42ヵ所が温泉を活用中。

    田園の真ん中にビニールハウス
     濁川地区では減反政策がスタートした昭和45年(1970年)以降、国の補助金を活用したビニールハウス栽培が普及。トマトやキュウリを道内の他地域に先駆けて3月から出荷している。

    濁川温泉で泊まった某宿でいただいた土産
     寒さ厳しい北海道で、ビニールハウス内を暖めるエネルギーに温泉を活用することで、燃料代を気にせず冬場に栽培できる。地元農家にとって、温泉は天の恵みに違いない。




    ◆地熱生かし、道内唯一の発電所

    看板は「森地熱発電所」だが、正式名称は「森発電所」の不思議さ
     濁川地区の地熱を生かした発電所がある。「北海道電力 森発電所」がそれだ。
     1982年(昭和57年)創業、出力50,000kw(10万世帯の使用量に匹敵)で、町内外に広く電力供給している。

    冷却塔から水蒸気が舞い上がる
     地熱の蒸気でタービンを回し、発電する手法を「地熱発電」と呼ぶ。全国に18ヵ所(北海道1、秋田3、岩手2、宮城1、福島1、東京1、熊本1、大分5、鹿児島3)あるが、こうやって全国分布を見ると、火山地帯=湯処に多いようだ。

     この発電所は、北電が運営している一方、蒸気を供給している会社は「道南地熱エネルギー」という別会社となっている。

    蒸気を発電所まで送っている
     これが道南地熱エネルギー。田園の真ん中にそびえる煙突から出る煙は水蒸気か。

    結構、離れている
     山中の森発電所(左)と、道南地熱エネルギーの距離は意外と離れている。



     地熱発電は国内発電能力の1%に満たないものの、太陽光や風力などとともにクリーンエネルギーとして注目されている。経済産業省は2008年(平成20年)12月に「地熱発電に関する研究会」を発足させた一方、2010年度(平成22年度)から地熱発電所開発に当たり、国は補助金額をアップする方針を示した。

     しかし、地熱発電に適した場所の多くは国立公園だけに、開発制限が生じる現状に加え、温泉地の湯量に影響が出る可能性、費用対効果の問題などの理由で、急激に増える状況とは言い難い。
     群馬県の嬬恋村で開発計画はあるが、草津温泉の主な源泉である「万代源泉」と建設予定地が3.5キロメートルしか離れていないため、隣接する草津町は「源泉枯渇」を懸念し、反対運動を展開している。

     地熱が生じる自然環境に対し、偉大なる先祖は畏怖の念を抱き、「神々が宿っている」と崇め奉っていたであろう。21世紀に生きるわれわれ子孫が取り組む地熱発電の開発は、神との共存を果たせるか、それとも冒涜に他ならないか、答えが出るのはずっと後だ。



    【参考資料】
    ・北海道温泉地案内 (北海道景勝地協会)
    ・家の光北海道版1996年8月号 (社団法人家の光協会)
    ・北海道における地熱・温泉利用の現状2007年版 (道立地質研究所)
    ・北海道電力ホームページ
    ・ウィキペディア「地熱発電」












    管理者にだけ表示

    トラックバックURL↓
    http://oyusuki.blog14.fc2.com/tb.php/1398-6a8c2d02

    | ホーム |