札幌から行く 『温泉宿』

    温泉宿 「宿泊」 好きな札幌人。風呂、食事、部屋、もてなし・・・ 「湯宿をめぐる冒険記」 & 「雑多な温泉話」

    明治創業 山あいの1軒宿

     日本海の海岸線に伸びる国道229号から、山道へ舵を切る。千走川沿いを6キロメートル進んだ先に、湯宿は佇んでいた。周囲に民家はなく、山あいの一軒宿だ。

    一軒宿
     開湯は明治4年(1871年)にさかのぼる。当時は「千走(ちはしり)温泉」と呼び、島牧の海でニシン漁が盛んだったため、湯治目的の漁師たちで相当賑わったとの記述を、北海道温泉地案内(昭和12年・1937年発刊)で読んだ。
     札幌で公務員だった先代が、近くで鉱山を操業していた関係者から宿を買い取ったのは第2次世界大戦後すぐのこと。昭和59年(1984年)に全面改築した宿を、6代目の現主人が引き継ぎ、今に至る。

     2週間ほど前、電話で予約した。「あわび海鮮」10,900円、「やまめ海鮮」7,900円の2コースがあるものの、ゴールデンウィーク期間は前者のみの受付であった。
     宿泊した当日、おそらく満室であっただろう。なかなかの盛況ぶりだ。




    赤褐色 析出物 いで湯にニンマリ

    天井が高い 昔々は、混浴露天風呂しかなかったそうだ。現在の男女別内風呂が、かつての露天風呂にあたるという。現在の新・露天風呂は近年設けられた、若い湯船である。
     内風呂は広くないが、天井が高くて開放的だ。赤褐色の湯に1人身を沈め、床に付着している析出物のアートを眺めていれば、「ああ、山のいで湯だなあ」と、思わずニンマリしてしまう。

     露天風呂は1人用と言い切っても過言ではない。見知らぬ湯客と一緒に浸かれば、照れる距離感だからだ。その分、温泉談義に花を咲かせやすいだろう。
     日中の露天風呂に、虫が飛び交っているのはご愛嬌と記しておく。





    別室個室の宴 海の幸にかぶりつく

     平屋建てな館内の見取り図をみると、客室は11室ある。しかし、最大で6室しか稼動させず、残りの客室は「別室個室」の食事処として活用している。
     自宅のように落ち着ける客室での部屋食は、持ち込んだ飲物も気兼ねなく飲める一方、客室に食べ物の臭いが残る。しかし、別室個室であれば、臭い問題は解消され、禁止されていなければ飲物も持ち込める。
     この湯宿は、冷蔵庫がないので、持ち込んだ缶チューハイ2本をチェックイン時に預かってもらい、夕食時に味わった。缶ビールは宿内の自販機で購入するのが当方なりの礼儀だ。

    うに
     山宿ながら6キロメートル先は日本海という立地上、海の幸が並ぶ。
     前浜のウニの解禁は6月だけに、5月に食したムラサキウニは小ぶりながら、甘味が舌に広がる。天然物のアワビは、刺身、焼き、天ぷらに調理した3個をそれぞれ味わえた。素材を生かした豪快な食事内容は、北海道らしい。



    笑顔絶やさぬ家族のもてなし

     家族経営で客室6室の湯宿。当方に接してくれたスタッフ全員が笑顔を絶やさなかったのが印象的だ。
     主人は帰り際に玄関先で正座し、「ことしはね、雪が多くてね、賀老の滝まで、まだ行けないんですよ。また来てくださいね」と、にこやかに見送ってくれた。その笑みがなんだか仏様のように感じたのは当方だけだろうか。「接客の原点は笑顔」などと、したり顔で思った次第である。

     人口1,900人ほどの後志管内島牧村は、温泉の宝庫。湯宿だけでも、当方が泊まった「ちはせ川温泉旅館」のほか、「宮内(ぐうない)温泉旅館」「モッタ海岸温泉旅館」「きむら温泉旅館」の4ヵ所ある。いずれも小さくて家庭的と思われる。
     札幌から公共交通で行くのは難しい立地ゆえに、なかなか宿泊するチャンスがなかった。今回宿泊できて、大きな仕事を成し遂げたような達成感がある。また足を運びたい気持ちが強まった。

    ポスター おまけの話。ちはせ川温泉旅館に貼ってあったポスター。歌手の香美野(かみの)ちえさんが「千走川旅情」というタイトルで、ビクターからCDをリリースしている。1999年(平成11年)の出来事だ。

     歌詞を紐解けば、失恋した女が主人公。千走川にかかる橋の上で出会った男と恋におち、別れてしまった。未練を残す女は、思い出を振り返るとともに、男に会えるかも知れないと、ちはせ川温泉旅館と思しめき湯宿を訪れている。

     あの湯宿で、どんなロマンスがあったのか、気になるところだ。女の情念をたっぷり歌いあげた素敵な声色、そしてメロディーなのだろう。聞いてみたい。

     そして、B面の「平成パチンコ音頭」が気になって仕方がない今日この頃である。


    実は未湯です。
    食事、お湯ともに理想的です。
    初秋あたりに考えてみたいです。

    賀老の滝に行ったときに通過したままで。
    あの時は時間がなくてモッタもパスしたような。
    このエリア是非行かねば。

    2009.06.03 23:27 URL | 駅前旅館 #.vjKhiP6 [ 編集 ]

    札幌から近ければ、定宿にしたいような、そんな印象でした、駅前旅館さん。
    ご家族でもてなしてくれる、そんな感じも素敵でした。
    ぜひ、駅前旅館さんの視点で、語っていただければ、勉強になります!

    2009.06.04 23:04 URL | いっち #- [ 編集 ]












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