札幌から行く 『温泉宿』

    温泉宿 「宿泊」 好きな札幌人。風呂、食事、部屋、もてなし・・・ 「湯宿をめぐる冒険記」 & 「雑多な温泉話」

    とんと評判聞かぬ宿

     ずっと気になっていた湯宿だ。

     初めての出会いは「パラダイス北海道」というネット予約サイト。そこに記されている紹介文を見て、惹かれる何かがあった。箇条書きすれば、こんな感じ。

    玄関前
    ・豊富温泉の湯が「源泉100%」
    ・湯治客にも人気
    ・新鮮な海の幸が自慢の漁師宿
    ・そして人情宿


     これで2食付5,700円という。湯と食が良く、宿主のあったかいもてなしを受けることが出来そう、と感じるセールスポイントを聞けば、とっても激安だなと、心を揺さぶられる。

     しかし、この湯宿に関する評判は、とんと聞かない。知る人ぞ知る、「誰にも教えたくない穴場宿」なのかしら。それとも、セールスポイントは「いささか、オーバーな表現」だったりするのか。

     真相究明へ、遠路はるばるやって来た。よーし、なんでも見てやろう。

    親戚の家と思えば

    著作権は大丈夫?
     民家のような木造2階建ての宿の駐車場で、国際的に有名なマンガキャラクター人形がお出迎え。

     玄関戸をがらり開けると、たくさんの飾り物が無造作に並べられている。「ごめんください」と発すれば、「あら、いらっしゃい。さあさあ、どうぞ」。シニアな女将が笑顔で出迎えてくれた。

    玄関内
     2階の客室に通され、女将からいろいろ説明を受ける。

     「ウチの風呂は1つしかなくてね。いま温めているから。(入浴時間は)18時くらいから22時くらいまでね。ぜんぜん(この湯宿の風呂は)たいしたことないから、向かいの町営ふれあいセンターで湯を楽しんでね。ウチの風呂なんて寝る前に1回入れば良いでしょう」。

    冷たい源泉は、無造作に捨てられている
     1つしかない浴室は、冷たい源泉を湯船に溜め、沸かして入浴する「溜め湯」であった。夕方はまだ十分温まっていないため、ふれあいセンターに1人500円払って入浴。
     宿の入浴時間は22時くらいまでと言うが、早朝4時頃、目が冴えてしまったので浴室に行くと、ぬるめながらも入浴できた。さすがに7時過ぎになると、ぬるすぎて入浴を諦める。

     一方、客室を見渡せば、隅っこに綿埃と髪の毛がたまっている。やかんとコップが用意され、やかんの中に水が入っていたが、コップ表面は埃が目立つ。
     夕食は部屋食。品数は少ないものの、すべて手作り。ホタテ刺身の鮮度に舌鼓を打ちつつ、ボタンエビもプリプリしていたが、背腸(せわた)が残ったままだった。

     夕食を食べ終わった時点で、事前に拝見した宿セールスポイントと当方の私感を照らし合わせた。

    ・豊富温泉の湯が「源泉100%」
     →その通りだけれど、「浴室は1つで自宅風呂みたい」「溜め湯」「入浴時間が限定されすぎ」

    ・新鮮な海の幸が自慢の漁師宿
     →ボリュームも派手さもなく質素ながら、手作りな家庭料理で、刺身の鮮度は良い。皿やお膳がところどころベタベタしている

     館内は散らかった印象で、掃除が行き届いていない。「宿ってさ、清潔なのが基本でしょ」と主張するつれに対し、当方はうーんと唸りながら、「アレだよ、女将さんも結構年だし、手が回らないんだよ、きっと。飾らない親戚の家に泊まりに来たと思えば良いんじゃないかい」。つれの返事はなかった。




    でもやっぱり人情宿

    朝食会場
     「朝食の準備が出来ました」。女将に呼ばれ、1階の茶の間のような空間に通された。こんな散らかった感じから、女将の日常生活を感じることができる。
     「いただきます」。もそもそ食していると、女将がやって来て、当方の隣にちょこんと座り、おもむろにビデオテープをデッキに突っ込んだ。「ウチね、関西テレビとテレビ東京で紹介されてさ。もう10年くらい前かな」。
     2本の番組を拝見したが、桜金造、阿藤快の両氏がレポーターを務め、「油分あふれる風呂」「最北の漁師宿」としてそれぞれの番組で紹介。ブラウン管に映る女将は、62歳だった。

     テレビに映る宿は、基本的に今と同じ風情なのだが、館内はすっきり片付いていて、湯船に熱々の湯が注がれていた。今は無き居酒屋も併設しており、客室で夕食を食べた阿藤快が「2次会」と称し、おでんやたこ足焼きを、地元客と一緒になって美味しそうに食していた。

    いただいた利尻昆布
     創業21年。ご主人は稚内で漁師をやっており、宿は女将が守る。朝食しながら女将の半生を拝聴し、御土産に利尻昆布をいただいた。

     そうそう、この宿のセールスポイントについて、補足しよう。

    ・湯治客にも人気
     →2階の客室5部屋は「満室」だったが、客の気配を感じないほど静か。つれは非常にシニアな女性と廊下であいさつしたそう。朝、隣室の客を見かけたが、札幌パルコでデートに興じている大学生っぽいこじゃれたカップルと遭遇。ネット予約を受け付けているから、こうした客も来るのだろうが、彼ら彼女らは、この宿をどう思ったか、気になるところだ。

    ・そして人情宿
     →うん、ホントだな。湯はぬるいが女将さんの人柄はあったかい。

     女将さんと話し込んだ当方は、あったかい気持ちで宿を後にした。2食付5,700円という宿泊料だけに、いろいろ気になった部分は、すべて水に流そう。












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