札幌から行く 『温泉宿』

    温泉宿 「宿泊」 好きな札幌人。風呂、食事、部屋、もてなし・・・ 「湯宿をめぐる冒険記」 & 「雑多な温泉話」

    海の幸を求めて

     「夏」は「海」である、「海」は「魚介類」である、ゆえに「夏」は「魚介類」である。

     下手くそな3段論法は置いといて、いやはや新鮮な海の幸を腹いっぱい食べたいな。温泉にざぶり浸かった後、ビールをグビグビ飲みつつ、コリコリした刺身に舌鼓。ああそうだ、ウニもいい、てんこ盛りで頂戴したいものだ。しかも宿泊料が安かったら、言うことないな。

     北海道の夏の時期、ウニを食らえる湯宿を探した結果、島牧村・きむら温泉旅館に出くわした。参考資料は「北の漁師宿」(川嶋康男著、響文社2003年発行)。「夏場は朝イカやヒラメ、ウニ一色になる。ウニは生ウニからウニ汁まで盛り沢山」の記述を発見したからだ。漁師が経営しているとあって、海の幸三昧を味わえそう。

    宿の前に国道229号、そして日本海
     さっそく予約の電話をかけると、電話口にシニアそうな女将さんが出た。その日は空いているという。

     「着くのは4時かい」
     「いいえ(なんで4時に限定?)、もっと早くおじゃましたいのですが」
     「オレ、大変だから4時じゃなきゃ無理だ」

     ざっくばらんな受け答えに「浜の母さん」を思い描く。

     「あのー、今時期(6月下旬~8月下旬)は(島牧村の前浜で)ウニが獲れると聞いているので夕食が楽しみです」
     「ウニ?(時化で)獲れないこともあるからね」

     それはそうだ。なんて正直なのだろう。商売っ気を微塵も感じさせない応対だ。「ウニ、本当に楽しみなんですよ(だから貴宿を選んだ)」とプッシュすると、「そしたら(ウニ)取っとくわ」

     客にペコペコせず、裏表のない応対に、少々たじろぎつつ、どんな宿か、わくわくしてきた。浜の母さんはどんなもてなしなのか、そして、ウニにありつけるだろうか。



    ウニ万歳

     ウニの結論から先に言えば、浜の母さんはちゃんと用意してくれていた。「だって、あんたたち、ウニウニって言うからさ」。

    生うに(夕食)蒸しうに(夕食)
    おまけでいただいた生うに(朝食・2人分)蒸しうにを御飯にぶっかけた(朝食)
     生ウニ、蒸しウニを遠慮なく頂戴した。ごはんに乗せて食すとこれまた美味い。本来、朝食時に生ウニは提供していないのだが、賞味期限ぎりぎりのものを「とっておいてもしょうがないから、おまけだよ。普段は出してないからね」。

     ウニばかりではない。素材を生かした浜料理が並び、鮮度の良い刺身にありつけた。「これね、父さんがきょう獲ってきたのさ」。清く正しく美しい漁師宿である。

    なべ
     朝食の味噌汁は、鍋に入れて出してくれる。飾らないところが良い。ちなみに、夕食の段階で、翌朝の朝食時間の説明はなかったが、早朝、浜の母さんに出会うと「もう用意したから」。夕食と同じ食事処に6時30分には、食事が並べられていた。



    あったかい「浜の母さん」

     そうそう、浜の母さんってどんな人かしら。夕方に宿へ着くと、出てきたのはシニアな旦那さん。この方が漁師なのだ。あれれ、浜の母さんは・・・と思っていたら、風呂上がりに1階調理場の前で、初めて浜の母さんに出会った。私と目が合い「あー、夕食は何時頃がいい?」とぶっきらぼうに問われ、「6時頃でいいですか、早すぎますか」と答えれば「分かったよ」だって。とりあえず、歓待の挨拶はなしだったな。

     その後、夕食、朝食の際の会話を通じ、お互いの距離が縮まった感じ。話を聞けば、盆や正月は、子供たちと孫が大挙してやってくるため、宿泊は受け付けていない。客室に寝泊まりしてもらい、帰る日にちゃんと掃除してもらうそうだ。私たちが盆明けにチェックインする2時間前まで、親族のみなさんがいたそうで、「ああ、だからチェックインは4時以降と指定されたのだな」と氷解した。

    ふろ
     漁業を営む旦那さんと子供さんの2人は、漁に専念するため、宿の仕事は基本的に浜の母さんが担う。ただし、浜の母さんはシニアゆえに足腰に不自由している。ふとん敷きは旦那さんの担当だった。
     だからかな、近隣のモッタ海岸温泉旅館から引いている湯(ナトリウム-塩化物泉)は、青白くて口に含むと塩スープのような味わいがどことなくするのだが、いかんせん、湯がちょっぴり汚れている。湯を抜いた湯船清掃は、どのくらいの頻度か分からぬが、風呂場の清潔さは、イマイチ感を募らせた。たまたまそういう状況に出くわした、と信じたい。

    もらったお土産
     この日の泊まり客は私たち1組ゆえに、浜の母さんとは、なんだかんだで四方山話に花を咲かせた。「オレね、お客さんの名前、すぐ忘れちゃうから、次来る時は、しっかり名前伝えてね」なんて言うから、「じゃあ、ウニウニって、予約時にうるさかった客って言いますね」。チェックアウトの際に、カボチャとトマトをいただき、「ありがとう、また来るね」。

    簡素な雰囲気
     漁師が営む温泉宿は、新鮮な魚介類が良い。これで2食7,500円はお得感でいっぱいである。
     季節や天候で獲れる食材は変わるゆえに、当然ながら食事メニューもアドリブだ。季節外れに泊まって「なんで、ウニ出さないんだよ」なんて、トンチンカンなクレームは慎むべき。「無知は罪なり」と言えよう。

     そして、家族経営でハードがくたびれた小さな湯宿だけに、グループで泊まって夜中まで大騒ぎな方々は、それにふさわしい宿をチョイスした方が、客も宿も幸せである事実に気付かされた。すっかり浜の母さんのファンになってしまったため、足腰の不自由な点を考慮し、チェックアウト前にふとんをたたんだり、ゴミをまとめたのだが、「あら、そんなことしなくて良いのに」と言いつつも、嬉しそうだったのが印象的だった。「客が宿に気を使うのはおかしい」は正論なのだが、情が移ってしまったゆえの行動と思う。

     なにはともあれ、宿の人との、こんなふれあいがあるから、湯宿めぐりはやめられない。

    モッタ海岸温泉旅館に泊まってきました。
    11800円の設定、生ものは少なかったです。
    温泉はすばらしい。湯ノ花がすごいので、翌朝明るいときに浴槽を見たら、白いアカみたいなものがびっしり浮いていて、ビックリ。
    全部 湯ノ花なんですよ。

    こちらの食事の方が島牧らしさがありますね。モッタ海岸温泉旅館は、ちょっとハズレでした。

    2011.05.07 13:05 URL | さくら #NqNw5XB. [ 編集 ]

    モッタ行かれましたか、さくらさん!
    湯の花だらけで良さそうな湯ですね。分湯されているきむらさんは、浴槽掃除がイマイチでした。
    島牧辺りの宿の食事は、季節によって捕れるものが異なるだけに、内容がかなり変わると聞いております。
    夏場に行くと、食事内容はまた変わっているかも知れませんね。
    宿泊経験ないだけに、いつか足を運びたいと改めて思いました。

    2011.05.07 18:56 URL | いっち #- [ 編集 ]

    鍵付きコメントさんへ

    メッセージありがとうございます!
    楽しい気分になっていただければ、
    なんだかこちらまで嬉しくなってきます。
    今後ともよろしくお願いします。

    2013.08.29 22:41 URL | いっち #- [ 編集 ]












    管理者にだけ表示

    トラックバックURL↓
    http://oyusuki.blog14.fc2.com/tb.php/1757-993cdfd4

    | ホーム |