札幌から行く 『温泉宿』

    温泉宿 「宿泊」 好きな札幌人。風呂、食事、部屋、もてなし・・・ 「湯宿をめぐる冒険記」 & 「雑多な温泉話」

     湯内川上流の国有林で岩内町がボーリングした湯を引き、1963年(昭和38年)に開湯した雷電温泉。高度経済成長に後押しされて団体客が押し寄せ、「雷電音頭」の手拍子で盛り上がったと聞く。

    ♪ 雷電めぐりはアリャセ鳴神滝よ 滝は数々浮島メヌカチョイト 釣場のビンの岬

    ♪ 親子別れはアリャセ鴎も啼くよ 岩は傘岩窓岩あたりチョイト 取りもつ二ッ岩

     やがて客足が落ち、廃業する湯宿が目立ってきた。ホテル雷電が2007年(平成19年)に閉館し、ホテル観光かとうも2010年(平成22年)春にのれんを下ろす。少し離れたところで三浦屋旅館が孤軍奮闘しているけれど、日本海と刀掛岩をどーんと拝めるナイスな雷電温泉の歴史に、事実上ピリオドが打たれたのだな。

     岩内ファンとして、ちょっぴりセンチメンタルになっていた矢先、ホテル雷電が2010年(平成22年)9月に「ホテル八一」としてリニューアルオープンしたことを知る。それは聞き捨てならぬ、とばかりに駆けつけた。



    築40年 そのまま活用

    遠目に見るときれいな外観
     「うわー、結構年季入ってる」。築40年を越えているから、そこはかとない古さがにじみ出ており、肯定的に言えば昭和を感じさせる造りが懐かしい。館内はほとんど手を加えておらず、スリッパと客室鍵に「ホテル雷電」の名前が刻まれていた。

    1階ロビー横に室内庭園
     鉄筋コンクリート6階建ての建物のうち、1~3階まで活用。4~6階は立ち入り禁止となっており、数えてみたら稼働客室数は12室だ。エレベーター内はほんわかカビの臭いが漂い、「宿主不在で放置されていれば、こうなっちゃうのだな」と感じる。

    洋室
     最初に通された客室は洋室だった。ピンク色のカーペット、花柄のベッドカバー、赤色の毛布といった色合いの醸し出すちょっぴり淫美な雰囲気が、今は亡き白老町の旅荘ラッキーを思い起こさせる(もちろん、ラッキーには到底かなわない)。そうそう、この洋室に限らず、館内全体の風情が、白老界隈の湯宿たちに似ている。ちょうど建てた時期が同じだからだろう。

     それにしても、出来れば畳の上でくつろぎたいな。温泉宿と言ったら和室でしょう。客室に飾る生花を持ってきたスタッフへ遠慮がちに「あの~」と申し出れば、「ええ、良いですよ」と笑顔で部屋をチェンジしてくれたから嬉しい。しかも、この湯宿で一番広い客室だったから、恐縮しきり。集中暖房の効いた部屋で、のんびり過ごすのだった。ちなみにすべての客室の壁は漆喰塗を施したそう。



    仕出し弁当な夕食

    夕食
    朝食
     レストランでの夕食は、仕出し屋の弁当プラスアルファな感じ。三平汁と茶碗蒸しはアツアツで、天ぷらもほんのり温い。蒸したアワビもあったりして驚いた。
     ただ、個人的には仕出し弁当箱で夕食を提供されると、なぜかしらちょっぴり寂しさを感じる。陶器のぬくもりが恋しくなっちゃう。新登別温泉荘愛山渓倶楽部もそうだった。いずれの湯宿も6,000円台だったので、値段相応と受け止めたい。宿側にしてみれば、弁当箱の方が運んだり洗ったりする手間がかからないのだろう。
     朝食は質素な感じ。お椀に注ぎ立てのアツアツ味噌汁が良かった。



    海と刀掛岩と温泉と

    早朝の刀掛岩
     やっぱり雷電温泉の魅力は、風光明媚な景色に尽きる。客室から望む日本海が美しく、刀掛岩のシルエットにウットリ気分となり、いつの間にか時間が過ぎていく。海へ沈む太陽にむせび泣きたければ、夏場に訪れよう。

    浴場からも刀掛岩が見える
     全面ガラス張りで開放感がある浴室からも海が拝める。ガラスが湯気で曇るため、くっきり見えないのは仕方ない。
     カルシウム-硫酸塩泉(石膏泉)の透明な湯は湯量豊富で、何も手を加えない生湯。ざんざかあふれ、もったいないくらい。ざぶり浸かって、ぼんやり景色を眺めていれば、あっという間に時は流れ、のぼせてしまいそう。日帰り入浴を夜遅くまで受け入れており、土曜とあってか途切れなく湯客を見かけた。
     カランは新品で、床のタイルも張り替えているため、小ぎれいな印象だ。

    日本海を望むホテル八一
     女性スタッフは感じ良い応対。岩内町市街まで送迎してくれた男性スタッフはぶっきらぼうなしゃべり方だが、実は優しくて実直な人だった。

     1泊2食6,500円なのだから、あれこれ欲張ってはイケナイ。荒々しい日本海と刀掛岩の景観を楽しむ湯宿と割り切って泊まれば、じんわり良さを感じられるだろう。安くて温泉もあるから長期滞在する仕事関係者に早くも愛されている。

     雷電温泉の灯を守るホテル八一で静かな一夜を過ごしつつ、再び「雷電音頭」で賑わう日に思いを馳せた。

    復活!
    ここの宿 以前いっちさんとCMで流れてる刀掛岩が見えるのは何処だろうとコメントやり取りした宿ですね。
    仕出弁当風は函館でも体験有り、修学旅行かと思ったしまった。けど6000円代なら十分かな~と

    今日の新聞で稚内駅「宗谷」が事実上閉店に 私が聞いた時は新駅舎に開店予定と聞いていたのでショック 完全閉店なのか新駅舎に移転とは記事上では伺えないのがもどかしい。 

    2011.04.03 11:42 URL | いわ #GYDvwQPg [ 編集 ]

    いっちさんの宿泊レポ待ってました\(^O^)/
    σ(^^)は、再開して2ヶ月ぐらいの頃に日帰りで利用したのですが
    せっかくの売りの海に沈む夕陽が望める風呂の窓の外側が
    潮汚れでうっすら曇ったままで、もったいなさ感じたんですよね。
    磨けば取れる汚れだと思うんですが・・・ねぇ。
    2時間居ても一度も浴場の巡回はないのもあって
    入浴だけでも、ココってスタッフが足りないの?って感は有りましたが
    宿泊の晩ゴハンが弁当箱盛りだと言う事で合点がいった気がします。

    日帰りの受付時間もちょっと長くて私的には重宝しそうなお湯なので
    今後に期待したいと思ってます。

    2011.04.03 17:32 URL | KOBAN2 #vkcXtX9g [ 編集 ]

    いっち様
    いわ様
    KOBAN2様

    御無沙汰いたしております。
    昨年は大変お世話になりました。
    遅まきながら改めて御礼申し上げます。

    早速のお泊り、さすがでございます(^^)。
    なんと言ってもこの眺めには千金の価値があるかと思います。
    なかなか行けない雷電温泉、是非初訪問を、と心に誓ったところです。

    >稚内の駅そば
    稚内在の知人より残念ながら新駅舎での営業は無いと聞いておりますが。。

    2011.04.03 22:37 URL | 駅前旅館 #.vjKhiP6 [ 編集 ]

    長らくご無沙汰していました。
    被災はしていませんが、生涯最大の地震でかなりびびりました。外国人観光客激減で道内温泉地も苦戦でしょうね。

    さて雷電温泉! 外観はかなり朽ちている印象がありますが、ともかくも復活はうれしいニュースです。前にも書いたように思いますが、晴天のサンセットタイムに薄暗い地下室のようなところで夕食をいただいた観光かとうの残念な対応を思い起こすに、たとえ仕出し弁当でも景色が良いと数倍美味しく感じられるのでは。

    2011.04.04 00:04 URL | よしい #GCA3nAmE [ 編集 ]

    【いわさんへ】コメントのやり取り、覚えていていただき、嬉しいです! 2年以上前でした。月日が経つのは早いですね。
    函館で仕出し弁当チックな宿・・・今度、こっそり教えてくださいませ(笑顔) おっしゃるように6000円なにがしですから、オールOKとオモッテマス。

    最北の駅そばが閉店・・・ 記事は道新の地方版でしょうか? 私が以前みた日刊宗谷の記事では新駅舎の4月3日オープンに当たり、その前日に閉店する旨の記載でした。駅前旅館さん情報を合わせると、再開の見込みはない感じですね。寂しいですね。そうであれば最北の駅そばは音威子府駅となりますね。頑張ってほしいものです。

    2011.04.04 22:41 URL | いっち #- [ 編集 ]

    【KOBAN2さんへ】
    あれこれ大変お世話になってます。刀掛岩がくっきり拝めない原因は、湯気だけじゃない点に頷く限りです~ ホント「惜しい」と思います。窓の汚れは客室も同様でした。いつ訪れても窓がピカピカの湯宿って、高級宿ならばともかく、6000円なにがしではムツカシイのかも知れませんね。

    ご存じのように、日帰り入浴の際にレストランで食事も楽しめ、営業時間は1130~1400、1700~1900。醤油ラーメン600円は日々のオーダー数が少ないでしょうから、業務用の味わいと思いますが(笑)、ちょっと気になります~ 秘境ラーメンというにはパンチ不足でしょうね(笑)

    2011.04.04 22:43 URL | いっち #- [ 編集 ]

    【駅前旅館さんへ】
    私を含め、みなさまにご挨拶いただき、ありがとうございます。

    聖観湯へリピートなされていた駅前旅館さんですが、雷電温泉はまだでしたか?! ちょっと意外に感じました(笑顔) おっしゃるように、素晴らしい景色を6500円で堪能できるだけで、ナイスな湯宿と思います。

    素泊まりだったら3500円(1人泊は3900円)だそうですから、敷居が低くて良い感じです(笑顔)

    2011.04.04 22:45 URL | いっち #- [ 編集 ]

    【よしいさんへ】
    こちらこそ、ご無沙汰しております。まずはご無事で嬉しい限りです! 札幌の街中を闊歩していた大陸の方々はとんと見かけなくなりました。湯宿もキャンセルが相次いでいるようですから、見方を変えれば、いま北海道の湯宿に泊まれば、貸し切り状態なのかも知れません。

    観光かとうの件、私も同様の思いですが、つれに言わせれば「まさか夕食を個室で食せるとは思わなかった」とまさかの好印象でした(笑)

    八一のレストランはオーシャンビューでした。私が泊まった1月は18時の段階で外は真っ暗でしたが、これからの季節は、夕食を楽しみながら、夕陽を拝めそうですね。そう考えると、穴場な湯宿に思えてきました。

    2011.04.04 22:47 URL | いっち #- [ 編集 ]

    こんにちは!
    雷電温泉は高度成長時代に随分と賑わっていたようですね
    名前だけは聞いたことがあります
    こちらのお宿の洋室は確かに隠微な感じが漂ってますね~(笑)
    何だか温泉宿という感じがしません
    ボクも温泉では基本的に和室がいいです
    旅荘ラッキーには到底かなわないというコメントで
    思わず温泉ラブホの大家である道東のブロガーさんの記事を読んじゃいましたよ(笑)
    仕出し弁当の雰囲気がちょっと寂しいですがお値段をみると納得できます
    やはりここの売りは温泉に浸かって眺める日本海の景色なんでしょうね♪

    東京の桜はまもなく見頃になります
    某知事が花見の自粛などを発言していましたが
    行政がうんぬん言う問題ではないと思います
    節電はしなくてはいけませんが節度を持った花見ならいいんじゃないでしょうか
    とにかく東京が元気にならないと・・・
    これからは被災した地方の日本酒を飲むようにしたいと思います
    http://news.livedoor.com/article/detail/5462646/

    2011.04.05 15:47 URL | 和友 #12BGKAFY [ 編集 ]

    【和友さんへ】
    こんばんはです。洋室のアダルトな風情、伝わったようで嬉しいです! 客室を変更してもらえてラッキーでした。勇気を出して言ってみるものですね(笑)
    温泉宿と言えば、やっぱり「和」ですよね~ 風呂上がりに客室の畳の上で「大の字」になって寝転がるあの瞬間、たまらなく好きだったりします(笑顔)
    おっしゃるように、ここは景色が何よりの御馳走でした。安いのでまた泊まりに行きたくオモッテマス。

    東京はもう花見の季節なのですね。普段通りの生活を送りつつ、被災した地元産を購入するって、復興につながって良いと思います。不謹慎と叫ぶ姿勢こそ不謹慎なのかな、と感じております(笑顔) 都知事選の行方は北海道民の私も気になるところです。
    ライブドアのコラムは充実しているので、私も結構チェックしてます~ 読み応えありますよね。

    2011.04.05 22:59 URL | いっち #- [ 編集 ]

    ご無沙汰しております。
    八一にお泊りになったことをお知らせくださったのに、なかなか伺わず大変失礼いたしました。
    ご感想を拝見して、色々な点で「うむー」という感覚を宿に対して抱きそうにもなりましたが、宿泊料金は¥6500。
    これを考えたら、宿の“人”がよければ他に多くを求めてはいけないですね、あれもこれもと私は欲張りなのでいけないです。
    なによりあの絶景を眺めながらの入浴はとても魅力的ですし、消えかけた雷電温泉に宿の灯りを再び灯してくれたのですから、八一はとても貴重な宿だと。
    発展途上ではなく、スタートラインに立ったばかりの発展開始の宿なのだと期待します。

    2011.08.01 23:47 URL | D #JalddpaA [ 編集 ]

    Dさん、こちらこそご無沙汰しております。
    お忙しい中、コメントいただき恐縮です。
    あれもこれもと求めてしまうのが人間の性ゆえに、
    Dさんはいけなくないと思ってます(笑顔)

    私は、八一の感想では、お安い宿泊料の中、人、湯、景色が良く、雷電温泉を守ってほしい・・・
    なんて物分かり良く「達観」した感じにまとめましたが、
    もっといろいろ改善点はある、なんて叱咤激励したい気持ちもありました(笑)

    おっしゃるように「発展開始の宿」と思います。
    平日は泊原発の協力会社など仕事関係者が泊まっていたので、
    仕事関係者の目線で良い宿になるか、観光客の視点も取り入れるか、
    発展を期待しつつ時期を見て再訪してみたいです。

    2011.08.03 07:35 URL | いっち #- [ 編集 ]












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